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光免疫療法とは

末期癌克服への架け橋区切り線

 
光免疫療法(ひかりめんえきりょうほう)は、2011年に日本人を中心とする研究グループが開発した新しいがん治療法で、2016年4月にアメリカ食品医薬品局(FDA)から認可を受けた。略してPITまたは、近赤外光線免疫療法(NIR-PIT)
 

概要

 
2011年11月6日、米国国立がん研究所(NCI)と米国国立衛生研究所(NIH)の主任研究員である小林久隆らの研究グループが、ネイチャー・メディシン誌上にて、その開発を発表した。この療法は、特殊な薬品と近赤外線を使いがん細胞を破壊するものである。近赤外線は、損傷を与えることなく生体組織内部に到達することが可能である。近赤外線を照射することで抗体薬剤が結合した細胞を選択的に細胞膜を破壊し、破壊後のすべての抗体が免疫系に露出することで生体内で超選択的ながん細胞の死滅だけにとどまらず、破壊されたがん細胞の残骸に含有されるがんの特異的抗原に免疫反応を惹起するため、照射した箇所以外のがん細胞や転移したがん細胞にさえ効果を及ぼす可能性がある。小林らはNIR-PIT が、臨床的にがん治療のアプローチを根本的に変える可能性があると考えている。オバマ大統領が2012年の一般教書演説でこの治療法の発見について言及した。また、例えばiPS細胞による臓器や網膜用の細胞シートの作成時に悪性の細胞が混入することで発がん性を示す心配が懸念されるが、そこにこの抗体をかけて光を当てれば、悪性の細胞を一瞬ですべて破壊して除去する事が可能で他の正常な細胞にはダメージを与えずに安全なiPS細胞シートや人工臓器の作成が可能になる事で再生医療にも役立つ事が期待される。
 

機序

 
がん特有の部分に付随する抗体というタンパク質と、その抗体と対になっているフタロシアニンとも呼ばれるIR700という色素がポイントとなる。IR700は、波長700nmの近赤外線を受けると吸収し化学変化を起し、光エネルギーを吸収して発熱することでがんにダメージを与えうる。この抗体‐光吸収体(IR700)接合体は、標的分子に結合しているときのみ近赤外線によって活性化されるよう設計されている。この抗体‐光吸収体接合体は、ヒトやマウスに注入後、抗体の標的を過剰発現するがん細胞と結合、そこに近赤外線を照射するとがん細胞は急速に膨張、破壊、壊死のステップを踏み免疫原性細胞死に至らしめる。
小林らは、がんの増殖アクセル役を果たしている上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)に結合する抗体とIR700を結合させた薬を作り、シャーレ内でヒトのがん細胞でEGFRを発しているA431細胞に作製した薬を培養液に加え、それに近赤外線を照射するとすぐにがん細胞が死ぬことを確認。さらに、動物実験としてA431細胞をマウスに移植、同様に薬を投与後、近赤外線を照射しがんを縮小させる実験に成功、薬ががん細胞の内側よりもがんの表面で効果をあらわしていることを発見。
 

キラーT細胞の活性化

 
NIR-PITに反応して破裂、壊死したがん細胞からは、細胞内の物質が細胞外へ放出されるが、近接する免疫系はこれらを異物として感知し、がん細胞を破壊する免疫細胞であるキラーT細胞が、制御性T細胞(Treg)という他の免疫細胞によって抑制されていたものが、マウスでの実験では急速かつ選択的にTregが除去され、1時間以内にキラーT細胞であるがん細胞傷害性T細胞活性化し、マウスの延命効果が確認された。すなわち、活性化キラーT細胞が、治療済みの腫瘍から他の部位の腫瘍に到達し、顕著な免疫反応を著した。このTreg除去法では、腫瘍の種類毎に特異的に発現する分子を狙い撃つための多種多様な抗体を作る必要がないというメリットがある。
 

臨床試験

 
頭頸部がんの10人ほどを対象に、近赤外線を当てずに安全性を確認後、20人前後で近赤外線を照射し効果を検証する予定。
 

副作用

 
薬は、がん細胞に結合しない限り人体に害はないことを確認。副作用の少ない療法であるとしている。
 

応用

 
共同研究者である医師のPeter Choykeによると、手術が困難な中皮腫に対し、術後にNIR-PITを施すことで切除しきれなかった残存がんの掃討が可能と推測される。
 

wikipediaより出典
 
 
 
※光免疫療法は日本人(米国立がん研究所&米国立衛生研究所・小林久隆主任研究員)が研究していますが、研究資金を出しているのはアメリカであるため、この技術や権利はアメリカのものになるようです。
※アメリカの権利所有なので日本にこの光免疫療法が導入されるのが遅れる事を私は危惧していましたが、楽天グループの三木谷社長がこの光免疫療法の米国ベンチャー企業の社長に就任しており、日本での臨床試験が早期に実現するように努力されているようです。厚生労働省の早い手続きを期待するところです。
※2017年現在、この光免疫療法は米国にて、頭頚部の扁平上皮癌に対して臨床段階(第2相)であり、その他の部位については準備が整い次第、臨床試験が開始される予定です。
※普通の人が普通に癌治療としてこの光免疫療法を受けれるようになるには、まだまだ何年も先のようです。一日も早い完成を願っています。
※光免疫療法は西洋医学3大療法の代わりとして安心安全に大きな塊の癌を消滅させる事が出来ますが、骨転移があると近赤外線光が届かないなどの課題もあります。
※VTR内でも説明されていますが、この治療法で癌を根治するためには人間が持つ免疫細胞の力も必要となりますので、免疫力を高める事は必須です。
 
 

 
ガンをピンポイントで攻撃する「光免疫療法」を受けた患者の生活の質(QOL)を向上させようと、治療後の副反応を抑える特殊なフィルターを開発したと、東海大などの研究チームが発表しました。光免疫療法を受けた患者の皮膚に照明などが当たると、水ぶくれなどの副反応の恐れがあるため、治療後1週間ほど暗い部屋で過ごさなければならないという課題がありました。
 
治療後は体力面や精神面から滅入りがちなのに、暗い病室での生活は患者のストレスになっていました。このフィルター付きのライトを使って過ごすことで、QOLを向上させられる可能性があるといいます。
 
光免疫療法に関する薬と医療機器は2020年に国の承認を受け、頭頸部(とうけいぶ)がん患者への治療(頭頸部アルミノックス治療)が始まっています。
 
この治療では、患者の体内に、ガン細胞に取り付きやすい抗体を入れます。その後、体の外からある特定の波長の光を当てると、抗体の一部分が化学反応を起こしてガン細胞が死滅します。
 
ところが、この抗体は一部が正常な細胞にも取り付きます。治療後に太陽光やLEDライトなどを浴びると、正常な細胞で化学反応が起きて副反応が出る恐れがありました。
 
そこで、東海大や楽天メディカルによる研究チームは、抗体が反応する光のみを取り除くフィルターを開発しました。この波長の光を99%遮断することに成功しました。このフィルター付きのライトでも、読書ができる明るさはあるといいます。
 
東海大は今後、術後の患者5人を対象に、暗い部屋で過ごした場合と、フィルター付きのライトを使って過ごした場合とを比較し、食事や読書、入浴などQOLがどの程度向上するかを調べる研究を始めます。
 
研究チームに参加した東海大医学部の和佐野浩一郎准教授(耳鼻咽喉(いんこう)科学)は「頭頸部がん以外のガンの治療で光免疫療法の治験が進んでいて、将来はこの療法を選択する患者が増えることが見込まれる。快適な入院生活を送れるようになることを期待したい」と話しました。
 

2023/7/6