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前立腺がんの標準治療を知る

末期癌克服への架け橋区切り線

 
前立腺がんの治療は、手術をはじめ、放射線療法、内分泌療法などさまざまなものがあります。治療の効果や副作用、費用などはそれぞれ異なるため、治療法を選択する際は、医師によく説明してもらいましよう。
 
 

 
50歳代から急増する男性特有の癌。初期には症状がありません
 
 

●前立腺と前立腺がん

 
「前立腺」は、男性の膀胱の出口部分にある器官で、尿道を取り囲むように存在しています。重さは20~30g程度で、栗の実ほどの大きさがあります。前立腺からは、精液の大部分を占める前立腺液が分泌されています。
 
この前立腺にできる癌が「前立腺がん」です。前立腺がんは50歳代以降に多くなる病気で、近年、増加傾向にあります。日本では、泌尿器科の癌といえば、膀胱がんが最も多かったのですが、今は前立腺がんが膀胱がんより多く見られるようになっています。
 
前立腺がんが増えた原因としては、社会の高齢化が進んだことに加え、食生活が欧米化したことも関係していると考えられています。
 
 

●初期には、自覚症状がない

 
前立腺がんは、基本的には初期の段階では自覚症状は現れません。「尿が出にくい、尿の出る勢いが弱くなる」といった軽い排尿困難が現れることはありますが、何年もかかって進行するので、本人がそれに気づかないケースがほとんどです。
 
ある程度進行した場合には、「排尿困難、血尿、精液に血が混じる」といった症状が現れることがあります。また、前立腺がんは骨に転移することが多く、転移した場合には、神経痛のような痛みや腰痛が起きます。しかし、これらの症状は前立腺がんに特有の症状ではありませんし、この段階で癌を発見しても、治療はなかなか困難です。
 
前立腺がんを早期に発見するには、自覚症状だけに頼っているわけにはいきません。症状のない段階で、きちんと検査を受けておくことが大切になります。
 
前立腺がんとは

 
 
難病末期癌からの生還・区切り線

 
「腫瘍マーカー(PSA)」によってごく早期の癌も発見できる!
 
前立腺がんは、検査法の進歩によって、早い段階で発見されるようになりました。検査には、次のようなものがあります。
 
 

●PSA(前立腺特異抗原)検査

 
前立腺がんができると、血液中に「PSA」という物質(腫瘍マーカー)が増えてきます。そこで、血液中のPSAの量を調べることで、前立腺がんができているかどうかを、調べます。
 
血液を採取して調べるだけという簡便さと、精度の高さから、前立腺がんの有無を調べる最初の検査として、人間ドックや健康診断でも、広く行われるようになっています。
 
ただし、前立腺肥大症でもPSAが正常値を超えることがあるため、異常値が出たとしても、必ずしも前立腺がんがあるとは限りません。
 
この検査で異常が認められた場合には、後述する経直腸的超音波検査などが行われます。
 
前立腺特異抗原PSA検査とは

 
 

●直腸診

 
医師が直腸に指を挿入し、直腸の壁を隔てて前立腺に触れ、その感触で癌ができているかどうかを診断します。指先に触れた前立腺がゴツゴツと硬かったり、硬くて大きくなっている場合には、前立腺がんが疑われます。
 
 

●経直腸的超音波検査

 
超音波の発信装置を直腸に挿入し、超音波検査を行います。体の表面から調べるのに比べ、前立腺のすぐ近くから超音波を発信できるため、より鮮明な画像が得られます。
 
 

●針生検

 
確定診断のために行われる検査です。経直腸的超音波検査の画像を見ながら前立腺に針を刺して、組織を採取し、がん細胞の有無や種類を調べます。
 
 

●CT検査、MRI検査

 
癌が見つかった場合は、CT(コンピュータ断層撮影)検査やMRI(磁気共鳴画像)検査などの画像検査が行われます。これらの検査によって、癌の病期(進行度)がわかります。
 
 

●骨シンチグラフィー

 
骨に、癌が転移しているかどうかを調べる検査です。がん細胞に集まる性質のある放射性物質を静脈に注射した後、特殊な機械で撮影し、放射性物質がどこに集まっているかを調べます。
 
前立腺がんの進行度と分化度

 
 
 
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癌の進行度や性質などに応じて治療法を選択する
 
前立腺がんの治療では、癌の進行度のほかに、がん細胞の種類も考慮する必要があります。がん細胞は、「高分化がん、中分化がん、低分化がん」に分けられ、その種類によって悪性度が異なるからです。
 
したがって、直腸診や画像検査などによる病期診断と、針生検による細胞(悪性度)診断を行い、さらに患者さんの年齢を考慮して、治療法が選択されます。
 
前立腺がんの治療法には、次のような種類があります。
 
 

●前立腺全摘除術

 
癌のできている前立腺を取り除く手術です。一緒に精のうやリンパ節も切除します。癌を確実に取ることができ、切除した癌を詳しく検査することができるのが、この治療法の長所です。
 
手術の後遺症として数%の患者さんに、尿失禁などの症状が現れることがあります。
 
また、前立腺のすぐそばには、勃起に関係する神経が通っています。この神経を一緒に切除した場合は、勃起障害(インポテンス)などの後遺症が残ります。ただし、早期がんの場合は、神経を温存することで、勃起機能を保つこともできます。
 
 

●放射線治療

 
放射線を照射して、癌を死滅させる治療法です。外来で治療でき、患者さんの身体的な負担も軽くてすみますが、全体で1か月半ほどの期間が必要です。
 
また、癌が完全に死滅せずに、治療後1~2年で再発するケースもあります。さらに、正常な細胞が放射線で障害され、「便や尿に血が混じる」といった症状が後遺症として現れることがあります。
 
 

●内分泌療法

 
前立腺がんの成長には、男性ホルモンが関与しています。そのため、男性ホルモンの作用を妨げることで、癌を縮小させる治療法です。
ある程度進行した前立腺がん(病期C・D)に対して行われ、骨などに転移している場合でも行うことができます。内分泌療法には次のような種類があります。
 
▼精巣摘出術……男性ホルモンのほとんどは、精巣から分泌されるので、手術で精巣を取り除きます。
 
▼女性ホルモン薬の投与……女性ホルモン薬(エストロゲン)を、内服や静脈注射で投与し、男性ホルモンの作用を抑えます。効果を持続させるためには、長期間にわたって、投与を続けなければなりません。しかし、この薬は心筋梗塞などが起こりやすくなるなどの副作用もあるので、心臓や血管に障害のある人などは、注意が必要です。
 
▼LH-RH拮抗薬の投与……男性ホルモンの分泌は、脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンが、精巣を刺激することで起こります。LH-RH拮抗薬は、性腺刺激ホルモンの分泌を抑えることで、男性ホルモンの分泌を抑える薬です。定期的に注射を受ける必要があります。この薬は高価なため、経済的負担が大きくなります。また、副作用として「ほてり、発汗」などの症状が現れたり、長期間用いた場合は、筋力が低下することもあります。
 
▼抗男性ホルモン薬の投与……男性ホルモンが前立腺で作用を発揮するのをブロックする薬です。性機能に対する影響が少ないという特徴があります。多くの場合、LH-RH拮抗薬と併用されます。
 
 

●緩和医療

 
ほかの治療法が無効となった場合や、再発の場合などに行われます。痛みのコントロールを中心に、排尿困難などの症状を取り除く治療が行われます。
 
 

●経過観察

 
癌が小さく、進行の遅い高分化がんで、患者さんが80歳以上の場合には、特に治療を行わないこともあります。3~6か月に1回、PSA検査を行い、経過を観察します。
 
 

●治療後も定期的に検査を

 
治療後は、定期的にPSA検査や直腸診を受け、再発をチェックすることが大切です。
 
手術をした場合、最初の1年は3か月に1回くらい、2年目は4か月に1回くらいの検査が必要です。それ以降も1年に1回、きちんと検査を受けて、異常の早期発見に努めましょう。早期発見によって、治療選択の幅も広がります。
 
 

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