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癌細胞のことを知る

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人間はなぜ癌になるのでしょうか。この簡単な問いに対する答えは、なかなか専門家でも即答することができません。
 
私たち人間の体は、肉眼では見えない細胞の集合体です。細胞一つ一つの大きさはわずか1マイクロメートル(100万分の1メートル)にすぎず、細胞を1000個並べてようやく1センチメートルという微小な世界で成り立っています。その細胞が1人の人間の体の中に約60兆個あるといわれています。癌はその中のたった1個の正常細胞が癌化することから始まります。その1個の癌細胞が分裂を繰り返し、増殖していきます。
 
では、なぜ正常な細胞が癌細胞になるのでしょうか。癌細胞は、心臓を除いた私たちの体のあらゆる部分に広がります。たとえば、皮膚、脳、舌、喉、肝臓などです。異常細胞は刺激物質による刺激を受けて、徐々に癌細胞になります。癌細胞と正常細胞の主な違いは核にあり、癌細胞の核は分裂の制御ができなくなった狂った核です。アメリカでは、毎年120万人が癌になり、60万人が癌のために死亡しています。日本では厚生労働省「2009年人口動態統計」によると癌死者数は約34万人、全死者数の3割を超えました。癌治療を受けている日本全国の患者数は例年50万人超えです。もちろん、癌になっても治療によって治る人は大勢いますが、重要なことは、そもそも癌にならない人のほうが多いのです。つまり、癌になる人もいれば、ならない人もいるということです。さらにいえば、癌になったとしても、手術後再発もせずに元気に暮らせる人もいれば、何年かのちに再発し、惜しくも亡くなってしまう人もいるということですが、これは一体どういうことでしょうか。タバコを吸う、吸わないの差でしょうか。焼き魚の焦げを多く食べた、食べないの差でしょうか。あるいは、放射線や公害物質やウイルス感染によることなどの違いでしょうか。それとも、神が定めた寿命なのでしょうか。癌は何の前ぶれもなく突然やってくるものではありません。必ず癌になる要因があって、遺伝子が傷つき、そして癌になるのです。しかし、人間の体には生まれながらにして癌細胞を殺す働きがあることを忘れてはいけません。別の言い方をすれば、人間の体には、癌細胞を勝手に暴れさせないように常に警戒し、見張っている「監視機構」が備わっているのです。このことは、癌治療に対する「免疫」の基本的なことですので、ぜひ覚えておいてください。
 
 

 
癌になる人とならない人がいるのはなぜか、という問いに戻りましょう。
 
それは、私たち人間が本来持っている、癌細胞を殺す力の差と考えられています。私たちの体の中には、癌細胞をやっつけてくれる「自己治癒力」ともいうべきすばらしい力が備わっていることを忘れてはなりません。それは人類に与えられた、癌細胞と闘う、最後にして最も効果のある最強の「武器」といえます。この武器こそが免疫です。自己治癒力と免疫は切っても切れない関係にあります。
 
免疫とは、ひと言で言いあらわせば、体の防御機構です。私たちの体の中には、細菌やウイルスなど、自分の細胞とは違う「異物」が入り込んできたときに、そうした情報をいち早く収集し、抗体をつくって発病を抑えるなど、必要に応じて私たちの体を守るために行動する働きがあります。発生した癌細胞などを、すぐさま殺し、排除してくれる強力な「兵士」が数多くいて、彼らが体じゅうをくまなく巡回して一生懸命に働いてくれているからこそ健康が保たれているのです。見方を変えれば、兵士たちには「自己」と「非自己」を見分ける能力があるということで、免疫学では、この認識力こそが免疫系の基本原理だと考えています。認識力と抵抗力がきちんと働いている限り、人はなかなか病気にはなりません。では、ひとたび免疫力が低下すれば、私たちの体は一体どうなってしまうのでしょうか。
 
わかりやすい例として臓器移植があります。
 
免疫系は、他人の肝臓や腎臓、つまり、非自己の臓器を移植した場合でも、当然、免疫反応が働いて、自己と非自己を見分けようとします。そして、移植された臓器、つまり非自己を引きはがそうとします。この反応が「拒絶反応」と呼ばれるものです。拒絶反応を許していたら移植の意味がありませんから、そうした免疫反応を抑える薬(免疫抑制剤)を投与して拒絶反応を抑えようとします。兵士たちに目隠しをしたり、兵士たちの数そのものを極端に減らしてしまうのです。この免疫抑制剤によって当然、体の免疫力は落ちるため、その代償として、感染症にかかりやすい環境が体の中にできてしまいます。癌患者の場合も免疫力が低下しているときには、兵士たちの数が滅ってしまい、殺されずに生き残ってしまう癌細胞が次々に現れては増殖して勢力範囲を拡大し、今度は、癌細胞が逆襲してくるのです。正常細胞の増加スピードは、癌細胞の増加スピードより遅い(1/4以下)ため、どうしても癌細胞の方が有利な状況です。癌細胞の勢力が大きくなってしまうと、兵士たちはあまりにも無力です。癌細胞が増殖するにつれて、免疫機能がどんどん低下してしまうと同時に、癌細胞はとても速く分裂・増殖する細胞なので、免疫力が低下していると分裂・増殖するスピードが増し、体の生命維持そのものにまで影響を与えることになってしまいます。
 
この点だけをみても、免疫機能の改善が癌の予防と初期治療にいかに重要であるかがわかります。つまり、兵士を増強させて、総合的な兵力を整備することが、何よりも大切になってきます。不運にして、癌細胞が大きくなったとしても、それに対抗するために、化学療法のような他の治療法と並行して免疫力の回復をはかることが大切です。癌細胞から体を守るためには、免疫系はとても大切なものだということが十分に納得していただけたと思います。
 
 

 
癌はひとことで言えば異常な細胞の増殖です。かつては正常だったその細胞の中のDNA(デオキシリボ核酸)という分子の「青写真」が、どういうわけか少しだけ変化して、細胞がまるで狂ったように増殖を始めるのです。
 
細胞の中で最も重要な働きをするのが、そのDNAです。生体にとって必要な情報を記憶する遺伝子は、DNAでつくられます。人間は死ぬと土に返り、形としては消えてしまいますが、DNAは後世までずっと生き残っていきます。つまり、子どもが生まれれば、その子どもに自分のDNAが受け継がれることになります。もちろん、自分の親、そのまた親といった遠い過去から、DNAを受け継いでいるわけです。
 
顔立ちや後ろ姿、体質、目や皮膚の色、毛髪の色などが似ているのは、すべてDNAが受け継いだ情報がそうさせているのです。そのDNAが傷ついたり、変質したとき、それまで正常だった細胞が突然、猛威をふるい始めます。癌は自分の体の正常細胞から発生してきて、なんの制御もなく野放図に増殖したあげく、しまいには母家である体まで乗っとってしまいます。まったく、この増殖のはげしさには一体どんな理由があるのでしょうか。一般の細胞であれば、外的な要因、たとえば放射線や化学物質によって細胞が変質しようとすると、その細胞は体を守るために、細胞死といって自殺してしまうように、一定の量まで達したら増殖をやめるという自然の制御装置が働くのが普通です。しかし、ひとたび細胞が癌化したらどんどん増え続けていき、増えることに対してはなんの制約も受けません。正常な細胞は、何回か細胞分裂を繰り返したら細胞の中の「時限爆弾」が働くか、他の細胞からコントロールされますが、癌細胞にはそのようなシステムはありません。癌細胞は矛盾を内包した実に奇妙な細胞です。
 
しかし、私たちの体の中では、普段でも1日に数千個という単位で癌細胞が生まれ、NK細胞を中心にマクロファージや多核白血球といった白血球群の免疫システムによって24時間体制で監視され、発見され次第、次々に除去されているはずです。しかし、ここに重要な疑問が生じます。多くの種類の免疫細胞が癌細胞を破壊しているにも関わらず、どのようにして癌細胞は誕生し、増殖していくのでしょうか。
 
例えば、免疫機能が弱い人は、通常の人より癌が発生しやすいという研究報告もあります。そのうえ、厄介なことに、癌細胞は幾重にも存在する免疫防御メカニズムをもすり抜けてしまう能力を持っているのです。
 
 

 
癌細胞はかなり強固で、賢い細胞です。一方的にNK細胞にやられっぱなしではありません。「細胞戦争」と呼ばれている、癌細胞からの「反撃」の話をしましょう。最近、癌細胞が免疫細胞を食べてしまうという「反撃」について報告されています。
 
反撃は人間の免疫力が低下しているときに起こります。癌細胞は白血球よりもはるかに大きな細胞で、いろいろな攻撃方法を使います。例えば、二つの腕で小さな白血球や赤血球、死んだ細胞までもなんでも食べてしまいます。また、癌細胞はコーヒーカップのような形をつくり、白血球をその中に引き入れるようなこともします。あるいは、癌細胞から不吉な大きな腕を伸ばし白血球などをつかまえてしまいます。どのような形で白血球などをつかまえたにせよ、最終的に癌細胞は、捕らえた白血球などを、ドアを閉めるようにして完全に自分の中にとり込んでしまいます。そうなると白血球などは癌細胞に食べられて消滅してしまいます。
 
これは、免疫学では「貪食作用」と呼ばれる現象です。
 
それまではあまり活発でなかった貪食作用が、癌が進行するに従って、次第に貪食能力を増していきます。
 
また、癌細胞はこれらと全く違った方法で、ちょうど天敵であるNK細胞やほかの細胞に目隠しをするような、あるタンパク質を分泌します。目隠しをされたNK細胞やその他の細胞はどこに癌細胞があるかわからなくなってしまいます。
 
癌患者のNK細胞は驚くことに、顆粒が空っぽになっているケースが多いのです。つまり、癌細胞はNK細胞というピストルから実弾を抜きとってしまうのです。癌細胞は、NK細胞の顆粒をとってしまえば、攻撃を受けないことを知っているのです。従って、癌と闘うためには、まず、このNK細胞を最強の兵士として訓練し、鍛え上げておくことが重要なカギになってきます。では、NK細胞を鍛えるにはどうすればいいのでしょうか。
 
その答えを考える前に、 病院(西洋医学)における一般的な治療の進め方「代表的な癌の標準治療とは」をはじめ、現在の西洋医学でどこまで癌と闘えるのかを「癌治療の限界と問題点」ページで知って下さい。
 

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