末期癌と闘われる方々への
希望や勇気となりますように

難病末期癌からの生還~タイトル画像小

HOME | 代表的な癌の標準治療 | 肝臓がんの標準治療とは

肝臓がんの標準治療を知る

末期癌克服への架け橋区切り線

 
肝臓がんの治療法には、さまざまなものがあり、患者さんの肝機能や癌の状態に合わせて選択されます。肝臓がんは再発しやすいため、治療後も定期的に検査を受けることが大切です。
 
 

 
C型肝炎ウイルスによる肝臓がんが増えている
 
「肝臓がん」も、ほかの癌と同様に、増加傾向にあります。特に、C型肝炎から癌に進行するケースが増えています。現在、年間約3万人強の人が、肝臓がんで亡くなっており、これは、癌による死亡者数のなかで、肺がん、胃がんに次いで、第3位を占めています。
 
 

●肝臓がんの起こり方

 
肝臓がんの原因として重要視されているのが、C型肝炎ウイルスやB型肝炎ウイルスによる「ウイルス性肝炎」です。これらのウイルスに感染すると、「慢性肝炎」から「肝硬変」へと進行し、さらに肝臓がんを発症することがあります。このようなケースが、肝臓がん全体の約80~90%を占めています。
 
ただし、ウイルス性肝炎の人すべてが、肝臓がんになるわけではありません。肝炎を発症しても、そのまま治る人もいますし、感染していても症状が出ない場合(無症候性キャリア)もあります。
 
B型肝炎(*)は、成人で感染した場合、急性から慢性に移行することはほとんどありません。C型肝炎から肝硬変に進んだ場合は、年間約3~5%の患者さんに、肝臓がんが発症しています。これは12年間で、肝硬変の患者さんの約半数が、肝臓がんになる計算になります。
 
(*)出生時に母親から感染した場合には、約30%の人がやがてB型慢性肝炎になります。ただし、現在では、ワクチンなどにより母子感染は予防できます。
 
肝炎とは無関係に、肝臓がんを発症させる発がん物質も、いくつか知られています。その代表的なものが、種実類や穀物に発生する黄色いカビの「アフラトキシン」や、着色剤の「アソ色素」です。これらを大量に摂取すると、肝臓がんになることがあります。なお、アソ色素は現在は使用が禁止されています。
 
 
 

難病末期癌からの生還・区切り線

 
慢性肝炎や肝硬変の人は定期的な検査を!
 
前述したように、ウイルス性肝炎や肝硬変の人は、肝臓がんになりやすいことがわかっています(ハイリスク・グループ)。肝炎や肝硬変の有無は、職場や地域などの健康診断でわかります。肝炎や肝硬変が見つかった人は、次のような検査を定期的に行っていきます。
 
 

●血液検査

 
癌が発症すると、血液中に特異な物質が増えることがあります。これを「腫瘍マーカー」といいます。
 
肝臓がんの場合は、「α-フェトプロテイン」と「ピブカII」という腫瘍マーカーが知られており、血中のこれらの量から簡単に肝臓がんの有無を調べることができます。
 
ただ、癌があっても、腫瘍マーカーの産生量が低い場合は、血液中の値が高くならないこともありますし、また、値が高いからといって、必ずしも肝臓がんとは限りません。
 
 

●超音波検査

 
超音波検査を行うと、直径1~2cm程度の早期の癌も発見できます。肝臓がんを早期発見するための、大切な検査で、3か月に1回行います。
 
 

●CT(コンピュータ断層撮影)検査

 
癌ができた場所によっては、超音波検査で発見できないこともあります。超音波検査を補うために、1年に1回、CT検査を行います。 
 
肝臓がんの検査

 
 
難病末期癌からの生還・区切り線

 
肝臓がんには手術療法と非手術療法がある
 
肝臓がんの治療法は、開腹して行う「手術療法」と、開腹せずに行う「非手術療法」に大きく分けられます。
 
 

●手術療法

 
開腹手術には、一般的な「肝切除術」以外に、「肝移植」もあります。
 
▼肝切除術……肝臓を血管の走行に沿って、いくつかに分け、癌のある領域全体を切除します。ほかの方法に比べて、癌の取り残しが少なく、再発を防ぐ効果が高くなります。具体的には、門脈から色素を注入して、色素で染まった癌のある領域を正確に切除します。癌がある程度大きくて、肝機能が低下している場合は、癌とその周囲だけを切除する方法(部分切除)も行われます。肝臓は切除されても再生能力が高いので、予備能があれば、2/3くらいまで切除することができます。術後は、普通1~2か月入院が必要です。
 
▼肝移植……健康な人からの移植(生体肝移植)のほか、脳死移植が可能になった現在、脳死ドナーからの移植も、治療法の1つに加えられています。
 
 

●非手術療法

 
▼エタノール注入療法……超音波画像で、癌の位置を確認しながら、体外から癌に針を刺し、エタノール(エチルアルコール)を注入します。エタノールには、たんぱく質を凝固させる働きがあるため、エタノールを注入されたがん細胞は、固まって壊死に陥ります。2cm以下の小さな癌なら、1回の治療ですみます。しかし、癌が大きかったり複数ある場合は、がん細胞が壊死になるまで、繰り返し注入を行うことになります。
 
▼TAE(肝動脈塞栓術)……肝臓には、肝動脈と門脈という、2つの血管から血液が送られています。肝臓がんは、主に肝動脈から送られる血液を栄養源としています。そこで、肝動脈の血流を止めて、がん細胞に栄養が行かないようにして、壊死にさせます。健康な肝細胞は、門脈から血液を受け取るため、問題はありません。具体的には、太ももの付け根の動脈からカテーテル(細い管)を入れて、肝動脈まで送り込み、がん細胞に栄養を与えている血管に小さなスポンジ片で栓をして、血流を止めます。
 
▼マイクロ波凝固療法……体外から針を刺し、電子レンジに用いられるマイクロ波を癌に当て、その高熱で癌を固める治療法です。
 
▼ラジオフリークエンシー……マイクロ波とは周波数の異なる電磁波を当て、熱でがん細胞を固めます。
 
▼凍結療法……エタノール注入療法と同じ方法で、患部に液体窒素を注入し、がん細胞を凍結して固めます。
 
 
なお、放射線療法は、放射線を照射された部分の肝臓が障害を受けるため、肝臓がんではあまり行われていません。
 

肝臓がんのエタノール注入療法とTAE肝動脈塞栓術

 
 

難病末期癌からの生還・区切り線

 
肝機能の状態や癌の大きさなどによって治療法を選択する
 
肝臓がんの治療法には、前述のようにさまざまなものがあります。治療法を選択する際、最も重要なのは、肝機能の状態です。
 
肝臓がんの治療は、どのような治療法でも、少なからず肝機能に影響を与えます。肝機能が極度に低下すると、生命にかかわるため、癌の治療と、肝機能保持のバランスをいかに取るかが、治療法選択の非常に大切なポイントになります。
 
そのほか、癌の大きさや広がり具合なども考慮して治療法を選択します。
 
 

●肝機能がよい場合

 
肝臓の機能が十分に保たれている場合には、肝切除術が行えます。多少大きく切除しても、残った部分が正常に機能すれば、肝臓全体の機能は保つことができます。
 
単発の小さな癌はもちろん、がん細胞が周囲に散らばっていなければ、大きな癌でも肝切除術が行われます。
 
 

●肝機能が悪い場合

 
肝機能が低下している場合、肝切除術を行うと、肝臓の働きが維持できなくなることがあります。そのため、この場合は肝切除術以外の治療法が選択されます。
 
具体的には、「早期の肝臓がん」「3cm以下、3個以下の癌」「5cm以下の単発がん」の場合は、エタノール注入療法、マイクロ波凝固療法、凍結療法などが行われます。また、肝移植も可能です。
 
肝臓全体に癌が広がっている「進行性の肝臓がん」の場合には、肝臓全体に効果を発揮する、TAEが適しています。
 
 

●早期がんの治療成績

 
ある程度進行した肝臓がんでは、治療法の選択肢は限られてきます。しかし、早期がんでは、どのような治療法の選択も可能といえるため、選択に迷う場合も多くなります。
 
肝臓がんの治療成績グラフ

 
上のグラフは、「臨床病期I期で、2cm以下の単発がん」について、治療成績を比較したものです。臨床病期I期とは、肝硬変が進んでおらず、肝機能も十分に保たれている状態と考えてください。
 
グラフでわかるように、肝切除術の成績が最もよく、次にエタノール注入療法、TAEとなっています。
 
開腹せずに行えるエタノール注入療法やTAEなどの治療法は、患者さんの身体的な負担が少ないのは確かです。
 
ただし、これらは、何回も治療が必要であることが多く、また、癌に針を刺すため、がん細胞が周囲に飛び散りやすいという危険性もあります。
 
医師と十分話し合い、自分の病状に合った治療法を、選択していくことが大切です。
 
 
難病末期癌からの生還・区切り線