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生命を蝕むタバコの毒性とは

末期癌克服への架け橋区切り線

 
ここではタバコが持つ毒性やタバコと癌との関係について記していきます。昭和後期の古い記事のためデータは古いですが、基本的なタバコの有害性や癌との関連は現在も大いに参考となります。
 
 

 
昭和59年2月、神戸市で開かれた日教組の「保健体育分科会」で喫煙報告がなされました。それによると、小学校五、六年生計103人の喫煙体験の調査で、タバコを吸ったことのある児童は、五年男子「35%」、六年男子で「73%」、女子でも五年「3%」、六年「6%」が経験していると報告されました。六年生に対して、始めての喫煙時期を聞くと、五年生の時「50%」、四年生のとき「21%」、三年生のとき「17%」、六年生のとき「6%」、さらに驚くことに保育園の時と答えたものが「6%」もいたそうです。
 
つぎに「だれとタバコを吸ったのか」との問に、一人でのんだが五年生で「37%」、六年生で「49%」、父母、祖父母ら家の人とが、五年「27%」、六年「28%」となっています。また同じような喫煙報告では、大阪市大淀区の大淀地区保護司会の調査があり、小学男子の喫煙が増え続け「小学校高学年の男子は五人に一人、女子は九人に一人がタバコの喫煙経験者である」と発表しています。
 
そして、タバコを吸っても注意を受けないとする者が「7%」を占め、「かっこいい」など安直な動機で吸っている人が多いようです。
 
19才未満からタバコを吸い出した人の肺ガンによる死亡率は吸わない人の六倍という調査報告もあるくらいで、年少期の喫煙は最も体に悪く、脳の発育や身体の成長にもかなり大きな影響があります。
 
このように恐ろしいタバコ病が、今や幼児の世界にまで侵入しているのです。
 
 

 
アリゾナ大学のスチーブン・ダニエル博士たちのグループは昭和58年12月20日「タバコを吸った人が吐き出す空気の中に含まれているのは、細胞の死がいのほか、だ液やタンのような粘液の小滴など、タバコを吸った人と吸わない人、三人ずつの呼気を比べたところ、吸った人の方が百倍も多かった」と発表しました。
 
では軽いタバコなら安心と思うかも知れませんが、カリフォルニア大学のN・ベービッツ博士たちのグループ研究によれば「低タールタバコも普通のタバコも健康への悪影響や、だ液のよごれは変わらない」と報告しています。
 
タバコは肺ガンだけではなく、肝臓ガンなどの危険因子でもあり、米国の対ガン協会のまとめでも、男性の喫煙者のガンによる死亡は非喫煙者よりも35%も多いとされています。
 
このためにアメリカのタバコメーカーは「喫煙は健康に有害である」とのタバコの警告をケースに印刷することを義務づけられているのです。
 
 

 
厚生省国立公衆衛生院の高野陽・乳幼児衛生室長と高城義太郎・玉川大学教授らが、三才から五才の幼児と家族の実態調査を行なったところ「喫煙者がいる家庭では、やはり呼吸器系の症状を持つ幼児が多い」また「特にノドや胸をゼイゼイ鳴らす子が目立つ」「父より母が吸う方が害を与える」なども確認されています。
 
このような結果から高野幼児衛生室長は「今回の調査結果を数字で見る限り、それほど深刻でないと受け取る親もいるかも知れないが、しかし幼児の呼吸器粘膜は敏感なので、煙の影響を受けて重い病気に進む恐れも強い、とくに母親はタバコに注意してほしい」と結んでいます。
 
最近アメリカの公衆衛生局も「タバコはヘロイン、マリファナなどの麻薬にも増して病気や死亡の原因となる」と強い調子でタバコ有害説を警告しました。
 
のちほどタバコの害はのべてまいりますが、タバコは、脳、神経系統に悪影響を与える点で麻薬と変わりなく、心臓マヒやガンの誘因ともなっていて、今このタバコを誘因とする病気がどんどん増加しています。
 
今の男女の寿命差は喫煙が原因であり、いずれは同じになる
 
アメリカの保健統計センターが1981年にまとめたデータによれば「全体として男性の方が寿命が短いのは、喫煙者の割合が女性に比べて圧倒的に多いからだ」とその調査結果の結論としています。
 
この調査の結果、タバコが原因だという結論を出したのは、アメリカのミラー博士のグループで、1972年から1974年の間に死んだ4394人の人の親類に、故人の生前の喫煙の習慣を聞くなどして計8300人の綿密な調査から推論したものです。
 
全米ガン研究所の調査では「女性の肺ガン死亡は、十年前には人口十万当たり10.7だったのが今では20.3となっており、今年中(1984年)には乳ガンを上回り、肺ガンの率がトップにおどり出る」と広く警告しています。
 
たしかにタバコが悪いということでタバコ離れは進んでいますが、昭和58年度の日本専売公社の「全国喫煙者率調査」では、男性で毎日吸うと答えた人が63.6%、ときどき吸う人が2.5%、両方合わせると66.1%。
 
一方女性は、毎日吸う人が13.5%、ときどき吸う人は2.5%となっています。
 
しかしながら女子の喫煙率は男子のそれよりも急激に増加しています。
 
十代では女子の方が男子よりも早熟である点、その女性たちが男女同権の手っ取り早い表現として"喫煙"を選択しているのかも知れません。
 
このように十代に限らず若い女性全般の喫煙率は増え続けていますが、最近のアメリカのある州では一般男子の喫煙者増加率を1としたとき、女性のそれは1を上回ったと報告されています。
 
この十代の女性に「なぜタバコを吸うのか」という間に「友だちが吸うから」とか「大人になった気分」とか「カッコいい」とかという答えが返ってきます。
 
ちなみにアメリカの成人男子の喫煙は36%、成人女子28%、医師10%です。
 
日本の医師の喫煙者率は30%という調査結果です。
 
 

 

(1)喉頭ガン

 
「喉頭ガンの死亡率は一日25本以上タバコを吸っている人は、ぜんぜん吸わない人の98.6倍にものぼる」と国立ガンセンターの平山雄・疫学部長は指摘しています。
 
確かにガンは、いまでは脳卒中を抜いて死亡者数のトップにおどり出てしまいました。
 
そしてガン死の中でも胃ガンがトップ(当時データ)ですが、早期発見がしやすく、治りやすくなった面もあり、少し下降線を示しています。
 
でも、タバコが原因とされる、喉頭ガンや肺ガンはすごい勢いでのびているのです。
 
 

(2)肺ガン

 
昭和58年10月26日、名古屋で開かれた日本ガン学会総会で、愛知県ガンセンターの富永祐民・疫学部長が「九年後に肺ガンの死亡率は男のガン死の中で一位になるだろう」と予測を発表しました(現在はすでに肺がんがトップ)。
 
富永博士は今の各ガン死亡率を1972年までさかのぼり、十年間の死亡率をコンピューターを使って分析したうえで、このガン死の将来を予測したものです。
 
そしてその結果をふまえて富永博士は「実際の人口構成が急速に高齢化しているため死亡数でいえば肺ガンはかなりの勢いで増加する。この肺ガン死を減らすためにはタバコを止めるしかない」と述べました。
 
またこの席で国立ガンセンターの平山雄博士も「実際の肺ガン死はいつも予測を上回っている。それは、わが国ではタバコの強力な販売促進が行なわれているからだ」と指摘しています。
 
肺ガンは一般に都市に多く、日本では大阪がトップです。
 
タバコのタール中に入っている有害物質はベンツピレン、クライセン、ニトロソアミン、ベンツアニトラセンなどのほか、最近名古屋市立大学の伊東信行教授、津田洋幸講師が発見したカルバゾールなど10種類もの発ガン物質、その他タバコの煙中には動物発ガン物質は40~50種類もあります。
 
もちろん、工場や自動車の排気ガスなどから出る窒素酸化物(NOX)が、空中に漂っている肥料や腐敗物から出る有機アミンと反応して、ニトロソアミンが生成されて原因となることもあります。
 
しかしながら肺ガンの一番の最大の危険原因はタバコです。
 
肺ガンによる死亡数は、1980年に年間21,211人に達しています(2017年は74,120人)。
 
そこで肺ガンによる標準死亡率比は、タバコを吸わない人を1.0とすると、ときどき吸う人1.8倍、毎日1~9本吸う人「2.2倍」、10本~14本「3.7倍」、15~19本は「4.8倍」、20~29本「4.9倍」、30~39本「6.1倍」、40~49本「7.4倍」、50本以上吸う人では「15.3倍」と上昇します。
 
このままでは肺ガンが、ガン死の中でトップになるのも、そう遠いことではなさそうです。
 
タバコを止めれば、肺ガンになるリスクはやめてからの年数がたつほど低くなるわけですから一日も早くやめることを心掛けるべきです。
 
もしこの本の読者が喫煙家ならば、煙草をやめるに越したことはありませんが、それが出来ないならば、本数を出来るだけ減らすことと、肺のレントゲン検診は毎年実施したほうがよいでしょう。
 
 

(3)胃ガン

 
さきほどものべたようにガンの中でも現在は胃ガンがトップの座にあります(当時データ)。
 
しかし半ば強制的に集団検診を行なっている企業や団体が増えた結果、早期発見による根治率も高くなってきました。
 
最近の検査結果からも胃ガンになる原因の一つに喫煙があることが明らかになってきました。
 
つまり平山ガンセンター部長は、胃ガンによる死亡率をみたとき「男性の喫煙者は非喫煙者の1.4倍、女性では1.16倍と胃ガン死の危険度が高くなっている」とのべています。
 
 

(4)肝臓ガン、膵臓ガン、膀胱ガン

 
肝ガンによる死亡比は非喫煙者と比べて男子で1.54倍、女性で1.64倍となっています。
 
膵臓ガンは男性で、1.60倍、女性で1.45倍。
 
膀胱ガンも男性で1.71倍、女性で2.35倍になるという報告結果があります。
 
 

(5)子宮ガン、口腔、咽頭、食道ガン

 
子宮ガンの場合も1.57倍多く発生しています。また最近の発表では子宮頸ガンの発生と喫煙との間に深い関係があることもわかってきました。
 
また、口腔、咽頭、食道ガンも喫煙者ほど発生の可能性が高くなっています。
 
特にタバコとお酒が重なった場合には発生度がより高くなる結果が出ています。
 
 

(6)鼻腔ガン

 
国立ガンセンターの平山博士によれば「鼻腔ガンも海外での研究結果、それに私たちの研究データをいろいろな角度から詳細に検討しても喫煙の影響は明らかです」とのべています。
 
そして、夫が一日20本以上のヘビースモーカーであるとき、吸わない場合に比べて、妻の鼻腔ガンの発生率は3.44倍も高くなると報告しています。
 
※参考 2017年の死亡数が多い部位
男 性:肺、胃、大腸、肝臓、膵臓の順。
女 性:大腸、肺、膵臓、胃、乳房の順。
男女計:肺、大腸、胃、膵臓、肝臓の順。
 
 

(7)虚血性心臓病

 
虚血性心臓病とは、心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が侵され、血液が不足することによって起こる病気で、狭心症や心筋梗塞がこれに含まれています。
 
何回も紹介している平山博士のデータによれば、1965年から16年間に夫がタバコを吸わない妻21,895人の中、118人が虚血性心臓病で死んだが、タバコを一日1本から19本吸う夫の妻44,184人の中では、240人が死亡し、一日20本以上吸う夫の妻25,461人では136人が死亡しています。
 
この数字からみると、一見大差ないように思われるかも知れませんが、タバコの害が心臓にも非常に悪いことを最近、大阪市立大学の前田如矢教授も指摘しています。
 
タバコがなぜ心臓に悪いかと申しますと、大きくいって二つあります。
 
一つは二コチンが体内に吸収されるとカテコラミンというホルモンが多く分泌され、このホルモンにより交感神経が刺激されます。
 
その結果、血管が収縮し、血圧が上昇します。血圧が上がると、心臓は余分に働かねばならないことになって、いたんだ心臓には大きな負担がかかることになります。
 
また二コチンは血液中の脂肪酸やコレステロールを増加させるので、動脈硬化を促進させます。
 
もう一つは、タバコに含まれている一酸化炭素が、血液中の酸素の運び屋であるヘモグロビンと強く結合し、酸素が組織に運ばれるのを妨害し、全身的な酸素不足が起こりやすくなります。
 
特に心臓のポンプ作用の原動力である心筋は、酸素不足に弱いので、このことが心臓発作の直接の引き金になります。タバコ狭心症といわれるのがこれです。
 
また、タバコの巻き紙のタールは、慢性気管支炎をひき起こし、肺ガンの原因ともなります。
 
したがって、タバコの害を恐れて、フィルター付きのタバコを吸ったり、パイプを使ったりする人がいますが、残念ですが、このようなことをしても殆んど効果はありません。
 
また、一日に何本までなら大丈夫という目安などもありません。
 
したがってタバコは「百害あって一利なし」と云っても過言ではありません。
 
特に、心臓に病気のある人、血圧の高い人などは、病気を悪化させたり、発作
を起こさせないためにも今すぐやめるべきだと思います。
 
 

(8)胃潰瘍や慢性呼吸器疾患の発生

 
タバコは胃潰瘍や慢性の呼吸器疾患などを起こす原因にもなります。
 
タクシーの運転手さんや、水商売の人に胃潰瘍が多発しているのは待ち時間の多いときや、不規則な生活で吸いすぎとなるタバコとの関係が専門家の間で指摘されています。
 
タバコは吸っている本人だけではなく、周わりの他人の健康にも害をあたえます。
 
吸っている人の横にいれば、4本相手が吸うと、吸っていない人は1本タバコを吸った計算になるというデータもあります。
 
自分だけの病気の発生や併発ということだけではなく、まわりの人たちにも(自分の子供や妻)まさに罪深い行為をしているということを忘れないでいただきたいものです。
 
最近、厚生省は都道府県知事に対し、病院の待合室に喫煙コーナーを設けるなどしていくようにと通達を出しました。
 
 

(9)女性の喫煙は美肌に悪く、妊婦には特によくない

 
さきほども述べてきたように十代や若い女性に喫煙者が増加していますが、女性の健康にとっては、タバコは男性以上に有害です。
 
臨床実験の結果でも「顔に出来るシミ、ソバカス、肌荒れなどはタバコが原因」とはっきり指摘する学者もいます。
 
イギリスなどでは、一世紀も前に肌へのタバコの悪影響の警告がでているくらいです。また、妊婦の喫煙は胎児に大きな悪影響を与えることがはっきり報告されています。妊娠中の喫煙により、胎児に生じた発育遅滞は、生後長年月を経過してもなお残っており、一五、六才になっても身長など発育の劣りはもちろん、読解力、数学的能力、総合的能力など頭脳的な劣りも認められるという報告もあります。これは、イギリスにおける17,000人の生後の追跡調査により明らかにされたものです。
 
もちろん先はどものべた通り日本及びアメリカの調査で、女性の喫煙は乳ガン子宮ガン、子宮頸ガンなどの危険度が高まることが明らかにされています。
 
 

 
アメリカのガン研究の権威者の一人でマサチューセッツ工科大学教授のD・バルチモア博士(1975年ノーベル医学生理学賞受賞)は「ガンのコントロールについて言えば、先進国のガンの30%以上は喫煙が原因です。したがって、ガンのコントロールは喫煙をいかにしてやめさせるかということにもなるので、これほどはっきりしていることはないのです」と述べているように現代の難病中の難病、ガンを少しでも発生させないようにするには、禁煙の運動が大きな意味をもってきます。
 
日本でも国立ガンセンターでは「ガン予防十二ヶ条」を発表しています。
 
それによれば、①偏食しないでバランスのとれた栄養をとる。②同じ食品を繰り返して食べない。③食べ過ぎを避ける。④深酒はしない。⑤喫煙は少なくする。⑥適量のビタミンA、C、Eと繊維質のものを多くとる。⑦塩辛いものを多量に食べない。あまり熱いものはとらない。⑧ひどく焦げた部分は食べない。⑨かびの生えたものは食べない。⑩過度に日光に当たらない。⑪過労を避ける。⑫体を清潔に保つ。
 
ということを挙げています。
 
この第五条にもはっきりと喫煙は少なくする。となっています。もちろん禁煙が最上であるわけですが、仲々それが出来にくい人もあります。
 
私はタバコの害毒がもたらす、肺ガンをはじめ心臓病やその他いろいろな病気を少しでもやわらげる方法の一つとして栄養学的な配慮を充分行うべきであると考えています。
 
そこでタバコの害からのがれる予防栄養学を皆さまと考えてみましょう。
 
 

(1)ビタミンAを摂ること

 
ビタミンAは正常な発育及び、粘膜や皮膚のために欠くことのできない重要な栄養素です。体の中はうすい膜で保護されているわけであり、目やのどの粘膜だけではなく、ビタミンAは胃の表皮粘膜の正常化にも欠かせない作用があります。
 
タバコという有害物質が体内に入ってものどや肺が犯されないようにするには強い粘膜が必要です。
 
強い粘膜を形成するためには、パントテン酸などの他に、充分なビタミンAが必要です。
 
肺、のど、胃などの内壁の粘膜形成にはビタミンAが重要なのです。
 
したがってタバコによる喉頭ガン、肺ガンなどの予防にはビタミンAが大きな力を発揮することになります。
 
アメリカの国立ガン研究所でも「肺ガンの発生を抑制するのにビタミンAが有効である」との研究結果を発表していますし、ノルウェイのブジェルク博士は、肺ガンとビタミンAとの関係について、8000人のくわしいデータを集約した結果「単純にいって、ビタミンAが少なければ、肺ガンになる」と結論ずけています。
 
その他、世界各国の動物実験でも、ビタミンAは肺ガンなど発ガン物質の抑制作用があると報告されています。
 
ビタミンAを多く含む食品としては、魚の肝油、レバー、うなぎ、卵、チーズ、緑黄野菜(パセリ、にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、ニラ、葉とうがらし、小松菜、大根の葉)などがあります。
 
 

(2)ビタミンEを摂ること

 
ビタミンEは今脚光のビタミンです。最初は動物の抗不妊薬としてのみの利用価値しか認められていませんでしたが、1945年にカナダの、エバン・シュート博士が三万人に及ぶ患者をビタミンEで治療し、脳卒中、動脈硬化、高血圧、血栓性静脈炎、関接痛、糖尿病、火傷、老人ボケなどもビタミンEで治癒させたと発表しました。
 
そのために世界の各医学会や栄養学会は大騒ぎになったのです。
 
そして日本でも東大の緒方知三郎教授ら多くの学者たちの研究が行なわれ、今やビタミンEは老化防止、若返り、血流改善、血管保護、体のサビ止め、制ガン、抗酸化、美容など多くの効果があることが医学的に証明されました。
 
ビタミンEは、タバコにおける障害を始め、現代病の大気汚染や、光化学スモッグによる障害も予防することがわかっています。
 
ニューヨーク大学のゴールドスティン博士、南カリフォルニア大学のバックレイ博士、バルカム博士らのグループは、ビタミンEを欠乏状態にしたネズミと、普通の飼料を与えたネズミを大量のオゾン(10.4PPM)を含む大気中に入れ、抵抗力に違いがあるかどうかを検討しました。
 
その結果、ビタミンE欠乏状態のネズミは360~410分で全部死亡してしまいましたが、これに対して、通常の餌で育てたグループのネズミは実験終了時まで一匹も死亡しなかったそうです。
 
またアメリカのメンゼル博士らは、低濃度のオゾン(タバコなどに含まれている特有の臭気のある気体)で次のような実験をしています。
 
まず、ビタミンE不足の餌を与えたネズミと、ビタミンEを多く含む餌を与えたネズミをオゾン1.0PPMの環境に入れると、ビタミンE不足のネズミ群は、早くも2日目から呼吸数の増加や腹式呼吸などの徴候を示し、7日目から11日目までに全部死亡してしまったのです。
 
これに対して、ビタミンEを多く含む餌を与えたグループは、11日目になってようやく呼吸の乱れが観察されたに過ぎなかったそうです。
 
その結果メンゼル博士は「ビタミンEが不足状態にある動物を、ロサンゼルスや東京で現実に発生している程度の濃度のオゾンにさらすと、きわめて強い呼吸器の障害を受けやがては死んでしまう。しかしビタミンEを充分に投与した動物の場合には、抵抗力がたいへん強くなる。タバコに含まれている二酸化窒素でも同様だ。都市に住む我々は、少なくとも当局がすすめる最低必要量のビタミンE(一日30ミリグラム)を摂取するよう心がけるべきである」とのべています。
 
日本大学の内田昭雄博士は「ビタミンEはオキシダントの障害の予防だけではなく、治療的にも働くことがわかった」と実験結果を報告しています。
 
そのほか、タバコなどから起こる疾病にもビタミンEが効果のあることを内外の医学者は実験結果から認めています。
 
しかしながらタバコをのまないこととか、公害や大気汚染を少なくする努力は必要ですが、常日頃からビタミンEを充分に摂っておくことはタバコの害を少しでも予防できる道だと思います。
 
ところでビタミンEを多く含んでいる食品としては、小麦胚芽、玄米、大豆、落花生、モヤシ、ほうれん草、ピーマン、アボカド、卵黄、牛乳、レバー、サフフワーなどがあります。
 
 

(3)ビタミンCを摂ること

 
タバコを吸うと、気管とか肺は煙という有毒物質を排除しようと働きます。
 
そこで、タバコに含まれている二コチンは血管を収縮させます。
 
その結果、自律神経の失調を来たします。
 
このようなストレスに対して体は必死に抵抗し、正常な状態に戻そうと働きます。
 
そのために大量のビタミンCが使われます。
 
このようにビタミンCは身体の組織の修復に大切な働きをします。
 
ヘビースモーカーの血中のビタミンCの量を調査したところ、タバコを吸わない人の50%であったという報告がありますが、タバコは一本吸うごとに25ミリグラムのビタミンCを消費してしまいます。
 
ですからタバコを吸う人にとってはビタミンCは本当に大切な役割をしているということが出来ます。
 
タバコの煙には、一酸化炭素、ヒドロシアン酸、酸化窒素、亜硫酸ガス、アセトニトリルなど多くの汚染物質があって、その濃度は大気中の汚染許容量をはるかに起えていますし、そのほか、発ガン物質のタールや二コチンを始め、ポロニウムなどという放射性物質までが微粒子として含まれています。
 
タバコを吸うことによってビタミンCが大量に消費されると、体の他の部分にはビタミンCが不足します。
 
悪い物質や細菌と闘うビタミンCが不足するということは、その欠乏している部分が無防備の状態になります。
 
そこにガンをはじめさきほどから述べてきたさまざまな病気に犯されやすくなります。
 
したがってタバコという煙は、私たちが考えている以上にやっかいな煙なのです。
 
ある報告によれば「この地球からタバコというものをなくすれば、肺ガンの率が30%も下がるだろう」という学者もいるほどです。だからタバコを今吸っている人、自分は吸わなくても周わりが吸っている人などはビタミンCが大量に必要な人であるといえます。
 
ビタミンCを大量に含んでいる食品としては果物ではグアバ、ゆず、すだち、レモン、いちご、キウィフルーツ、甘がき、きんかん、オレンジなどで、野菜ではパセリ、ブロッコリー、青キャベツ、にがうり、ピーマン、ほうれん草などがあります。
 
また、最近注目されているものにバラの実とかアセロラがあります。
 
これら天然のものは、アスコルビン酸(ビタミンC)を極めて多量に含むのみならず、バイオフラボノイド(ビタミンP)、ヘスペリジン、ルチンなどいわゆるビタミンCコンプレックスを多く含み、これらが同時に作用することによって相乗的な効果を発揮します。
 
もちろんビタミンCの副作用は一切報告されていません。
 
 

(4)プロティン(蛋白質)を摂ること

 
われわれの肉体はプロテイン(蛋白質)化された細胞の所産であるわけで、体を健康に維持してゆくためには、死んでゆく細胞と生まれてくる細胞のバランスを保つことが必要です。
 
タバコを吸うということは体内に異物が入り込んでくることで、いわば感染症にかかるようなものです。
 
また実際タバコの煙と一緒にウイルスや細菌が入り込むこともあります。
 
このように外から異物や細菌などが入り込んだ場合、これに抵抗し、悪いものを体外に追い出そうとするのが免疫で、体細胞や組織が自然の免疫をつくるためには、充分な量の優良なアミノ酸を必要とするのです。
 
そしてその免疫が異物や細菌だけではなくガンを防いだり、アレルギー疾患、呼吸困難、気管支炎の障害、風邪や鼻づまりなどのような症状を防ぐはたらきをするのです。
 
アミノ酸に代謝されたプロティンは利用できるビタミン類とともに自然の抗体をつくってウイルスなどの感染と闘い、異物を除去するなど、悪い物質の侵略を撃退するわけです。
 
したがってタバコを吸う人は充分なプロテインを摂取しなければなりません。
この充分なプロテイン摂取がタバコの害毒に負けない体細胞をつくる基本になるわけです。
 
ところで良質のプロテインを摂るには、牛肉、レバー、チーズ、鶏肉、魚介類などの動物性食品のほか、中年以降の人では特に大豆、野菜、果物や海藻、穀類などの植物性のプロテインを充分摂ることを心がけるべきです。
 
 

(5)食物繊維を摂ること

 
今まで食物繊維は、便秘を予防するくらいしか認識されていませんでした。しかし最近の研究では、ガンをはじめ、動脈硬化、糖尿病、高血圧、肥満防止など多くの成人病予防が明らかにされてきました。
 
つまり、食物繊維は、老廃物の体内滞留時間を短かくし、早く外に出すばかりではなく、体外から入るタバコなどの有害物質やコレステロールなどの有毒物質を吸収、吸着し、それを排泄させる働きがあります。
 
したがってタバコなどを多く吸う人は、より多くの食物繊維を摂れば、タバコの害を軽減させることができます。
 
食物繊維が多く含まれているものには、イチゴ、リンゴなどの果物、コンニャクなどの野菜類、ワカメやコンブなどの海藻類などがあげられます。
 
また最近注目されているものにアルファルファがあります。
 
 

 
禁煙はある人にとってはそれはどの苦痛ではないにしても、ある人にとっては大変に困難なものです。
 
ある調査によれば喫煙者の約60%は大した無理もなくやめられたが、約35%の人はかなり苦労をし、約5%の人は非常に困難であったという結果がありますが「5日間でタバコはやめられる」の発案者で東京衛生病院院長の林高春博士は、禁煙講習会の経験から「参加者の90%は何とかやめられる。しかし、せっかく苦労してやめたのに、約半数の人は一年以内に喫煙習慣へ逆戻りしてしまう。
 
つまり、禁煙後一年経ってなおタバコを吸わないでいる人は、45%から60%程度である」とのべていますが、まさに禁煙の難しさは、タバコをやめつづけることにあるのです。
 
そこで禁煙の方法についてのべてみたいと思います。
 
 (1)タバコを吸っている人の所に近づかない。
 (2)タバコを吸いたくなったら水を飲む。
 (3)禁煙三日目ぐらいでイライラが起こったりするがそれでも頑張って禁煙をすれば少し楽になる。
 (4)イライラする時には、気分転換のために趣味に目を向けるとか、運動、体操、入浴、ゆっくりとした深呼吸などをする。
 (5)ストレスがたまってきたりするので、マッサージとか、ヨガ、瞑想などをするのもよい。
 (6)食欲が変化することもあるので、食べすぎに注意をする。特に脂肪、砂糖、塩分には気をつけること。
 
だいたいこのようなことを注意して禁煙に入ればよいと思いますが、禁煙をするにあたっては、誰か一緒にやめる相手を見つけることも成功率が高くなる一つの方法でしょう。
 
また禁煙にあたっては、深く考えて緊張したり、先のことを気にするとかえって逆効果であったりするので気楽な気分で禁煙に入ることです。
 
しかし最終的には自己の「やめる」という意思の強さが大切です。
 

記事:山口武津雄・医学博士

 

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