末期癌と闘われる方々への
希望や勇気となりますように

難病末期癌からの生還~タイトル画像小

HOME | 代表的な癌の標準治療とは | 胃がんの標準治療とは

胃がんの標準治療を知る

末期癌克服への架け橋区切り線

 
「胃がん」は、最近では早期に発見すれば、完治も可能になってきています。しかし、ある程度進行するまで症状が現れないので、定期的な検査を受けて、早期発見に努める必要があります。
 
 

 
早期に発見できるようになり治療成績が向上している
 
「胃がん」は日本人に非常に多く、現在も患者さんの数は減っていません。しかし、早期発見・早期治療されるケースが増えていることから、死亡率は低下しています。胃がんの患者さんのうち、半分以上の人は、検診などによって早期のうちにがんが発見されるため、治療によって完治しています。
 
 

●早期の胃がんと進行した胃がん

 
胃壁は、胃の内側から外側に向かって、「粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜(しょうまく)下層、漿膜」という、5つの層から成り立っています。
 
胃がんでは、がん組織の広がりが、粘膜下層までの場合を、「早期がん」といい、その下の固有筋層以上に浸潤しているものを「進行がん」といいます。早期がんや進行がんは、その形態によって性質が異なり、いくつかに分類されています。
 
早期がんは、進行がんに比べ、リンパ節などに転移する割合が少なくなります。特に、粘膜内に癌がとどまっていれば、転移していることはほとんどありません。
 
胃がんの形態

 
 

●検査

 
早期の胃がんは、ほとんど症状がありません。早期胃がんの患者さんのうち、およそ半数は症状がない人です。これらの患者さんは、集団検診で行われる内視鏡検査やエックス線検査で、癌が発見されることがほとんどです。
 
これらの検査で異常がある場合、癌が疑われる部分の組織の一部を内視鏡によって採取し、がん細胞の有無を調べます(生検)。また、内視鏡の先端に、超音波の端子(発信装置)を装着して行う「内視鏡的超音波検査」では、癌の深さ(深達度)や、リンパ節転移の有無を調べられます。
 
 

●治療法の選択

 
胃がんの治療法には、後に説明するようにいろいろな方法があり、癌の進行度によって、治療方針が決められます。
 
▼早期がん……内視鏡切除、腹腔鏡切除、縮小手術(胃の部分切除)などが行われます。
 
▼やや進行した癌……標準手術(胃の切除)に、化学療法を組み合わせて行います。
 
▼かなり進行した癌……手術前に、化学療法によって癌を小さくしてから(術前化学療法)、手術で癌の部分を切除します。化学療法のみが行われることもあります。
 
それぞれの治療法について、以下詳しく解説します。
 
 

難病末期癌からの生還・区切り線

 
内視鏡を用いる切除術として、内視鏡治療および、腹腔鏡治療があります。
 
 

●内視鏡による治療

 
口から胃に内視鏡を入れ、患部を観察しながら、内視鏡の先端に装着した器具を操作して、がん組織を切除します。内視鏡治療が行えるのは、転移がなく、癌が粘膜内にとどまっている場合に限ります。
 
隆起型の癌は、盛り上がった部分の根元にワイヤーをかけた後、ワイヤーに高周波電流を流して癌を焼き切ります。この方法では、直径2cm以内の癌を治療できます。
 
癌が陥凹型の場合は、まず、がん組織の下に生理食塩水を注入し、患部を盛り上げてから、隆起型と同様に焼き切ります。この場合は、5cmまでの小さな癌が対象になります。
 
内視鏡による治療は、1日の入院で済み、手術の翌日から普通の食事が摂れます。
 
内視鏡による胃がん治療

 
 

●腹腔鏡による治療

 
腹部に3か所小さな孔を開け、その孔から腹腔鏡(内視鏡の一種)や切除器具を入れて、胃の外側から癌の部分を切除します。腹部にはほとんど傷が残らず、また、患者さんの身体的負担も少なくてすみます。
 
この治療法は、腹腔鏡を腹壁から入れるため、患部が胃の前面にあることが、適用の条件になります。早期がんが対象となりますが、癌が転移していなければ、癌が粘膜より下に浸潤していても治療できます。
 
腹腔鏡治療は、手術後4~5日ほどの入院が必要です。
 
 

難病末期癌からの生還・区切り線

 
胃の切除手術には、縮小手術と標準手術の2つの方法があり、癌の進行度によって、どちらの方法を行うかが決められます。
 
 

●縮小手術

 
早期の癌で、リンパ節に転移がない、または転移があってもごく少数の場合、次に述べる標準手術よりも、切除範囲を小さくする縮小手術が可能です。
 
縮小手術では、癌の部分と、周囲のリンパ節を、小さめに切除します。多くの場合は、胃の出口に当たる幽門を残すことができますし、胃の周囲にある血管や、胃の動きをつかさどる迷走神経を大きく切除せずにすみます。そのため、患者さんの手術後の生活の質が低下することを防ぐことができます。
 
縮小手術は、標準手術よりもむしろ長い時間がかかります。しかし、入院期間は3週間で、標準手術を行う場合とそれほど違いません。縮小手術の場合は、手術後に化学療法を行う必要はありません。
 
胃がんの縮小手術とは

 
 

●標準手術

 
以前から、一般に行われていた手術方法で、やや進行した癌に対して行われる方法です。
 
標準手術では、癌の部分を含めて、胃の約2/3を切除します。癌のある部位によっては、幽門を切除する必要がありますし、癌の大きさによっては胃をすべて切除することもあります。そのため、食べた物を胃にためておくことができなくなり、消化不良が起こったり、食事を摂った後に低血糖が起こって、動悸、めまいなどが生じることもあります。
 
また、リンパ節とともに周囲の神経や血管も一緒に切除するため、手術後に胃の機能がある程度低下することは避けられません。
 
なお、標準手術では、やや進行した癌を対象とするため、転移がある可能性を考え、手術後に化学療法が行われることもあります。標準手術の入院期間は3週間程度ですが、退院後も、外来で抗がん剤の投与を受けることもあります。
 
 

難病末期癌からの生還・区切り線

 
高度に進行した癌の場合は、癌が大きいため、手術では、完全に癌を取り除くことができないこともあります。そのため、手術前に化学療法を行って、がん組織を小さくしてから、手術を行うことがあります。なお、手術が行えない場合には、化学療法だけが行われる場合もあります。
 
 

●化学療法の種類

 
抗がん剤には、経口薬もありますが、多くの場合には注射で投与します。注射薬を用いるときには、次の方法が用いられます。
 
▼静注療法……静脈に抗がん剤を点滴する方法で、抗がん剤が全身に回るので、広い範囲に転移がある場合に効果を発揮します。ただし、薬の作用が全身に及ぶため、薬によっては、「食欲不振、吐き気、下痢、白血球の減少」などの副作用が現れやすくなります。
 
▼動注療法……癌に向かう動脈に抗がん剤を注入します。高濃度の薬を、直接がん組織に送り込むことができ、局所的な治療効果が高い方法です。また、全身に回る薬の量は少ないので、副作用も軽くなります。
 
これらの2つの方法を組み合わせて行う場合もあります。
 
 

難病末期癌からの生還・区切り線

 
胃の切除手術を受けた後1年間くらいはなるべく胃に負担をかけないよう、消化のよい食事内容を工夫し、1回に摂る食事の量も少なくします。その代わり、食事の回数を増やして、必要なエネルギー量を補うようにしましよう。また、食事を摂るときには、ゆっくりと、よく噛んで食べてください。
 
1回の食事量が少ないため、食事と食事の間があくと、低血糖を起こすことがあります。冷や汗をかいたり頭がフラフラしたら、甘い物を食べるようにしてください。
 
また、胃をすべて切除した場合には、ビタミンB12が吸収できなくなるため、悪性貧血を起こす可能性があります。その場合には、3か月に1回ほど、注射でビタミンB12を補充します。医師の指示に従ってください。
 
 

●定期的に検査を受ける

 
治療後の定期検査の頻度は、癌の進行度にもよりますので、医師の指示に従い、定期的に検査を受けるようにしてください。
 
 

難病末期癌からの生還・区切り線