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末期癌にならない健康維持の秘訣

難病末期癌からの生還区切り線
 
腫瘍内科学領域研究者のケリー・ターナー博士の分析によると、末期がんを克服するには癌患者自身が以下の9項目を満たす必要があると書籍に記しています。
 
  • 抜本的に食事を変える(父:入院で病院食となりバランスの取れた食事になった)
  • 治療法は自分で決める(父:性格上、何事も指図されるのは嫌うので自然と自発的になっていた)
  • 直観に従う(父:良いと思ったら信じるタイプだった)
  • ハーブとサプリメントの力を借りる(父:主治医より私の事を信じ、病院薬では得られない効果や作用があると信じて服用を続けた)
  • 抑圧された感情を解き放つ(父:家族が必死になって父のストレス排除に努力した)
  • より前向きに生きる(父:「病は気から」なので家族は「治る」と信じ込ませた)
  • 周囲の人の支えを受け入れる(父:父は人一倍家族思いだったので、大切な家族からの愛を感じて受け入れる事をしていた)
  • 自分の魂と深くつながる(父:神様やご先祖様のご加護を人一倍信じるタイプだった)
  • 「どうしても生きたい理由」を持つ(父:娘の結婚式スピーチをするためには「声」を失うわけにはいかなかった)
 
このターナー博士の書籍は父が末期がん完治後に書かれたものですが、私の父もこれら9項目のことをほぼ徹底出来ていたことは偶然ではないと思います。
  
 

 
健康維持には、良い食物を摂取することが大前提となります。悪いもの(腸内を腐敗させるもの)を口から入れていては、根本的に病気を治すことは難しくなります。良い食物の摂取法の基本は、腸内腐敗を起こす物質を取らないこと、そして腸内を人間にとって有利な善玉菌(ビフィズス菌など)が、優位な状態になるように食物を摂取します。腸内をきれいに保つには、やはり酵素の摂取が良いと思います。酵素にも、最近では医療機関向けの製品があります。父が闘病中には医療機関向け製品がなかったのですが、現在は医療機関向けの酵素に切り替えています。
 
 

 
腸内には、無数の細菌が存在し、さまざまな働きをしています。その数は、100種・100兆個とも言われ、大腸内容の1グラムあたりで数千億というものです。このような細菌は、大きく二つのタイプに分かれます。ひとつは人間に役立つ「善玉菌」、もうひとつは、害をもたらす「悪玉菌」です。一般には、酸素を好む好気性菌に善玉が多く、酸素を好まない嫌気性菌には悪玉が多いのですが、まれに嫌気性でも善玉として働く場合があるので、「善玉・悪玉」という呼び方をしています。善玉菌の働きは、消化吸収の促進、病気感染を防ぐ、食べ物を非常に細かくして違った性格のものにまで乳び化(粥状になること)する(元素転換)、腸内の細菌に対する抗体を産生して免疫を高める、などといったものです。
 
一方悪玉菌は、すぐ悪い反応が起こるということもないのですが、毒素や発ガン物質(アンモニア、アミン、フェノール、硫化水素、ヒスタミン、インドール、スカトールほか)を産生し、免疫力を低下させ、血を汚し、全身の酸化を速め、老化を推進してしまいます。しかし、悪玉菌だからといって、一概にあってはならないということではありません。問題はバランスなのです。一般に、善玉が大変多く、悪玉が少ないことが理想です。つまり「善玉菌優位こそ健康のもと」ということになります。
 
 

 
若い頃はスマートな人でも、中年になると見事に太ってきます。これは中年になってから好んで高コレステロールのものを食べるようになったからではなく、今まで通りの食生活をしているのに太ってしまうだけに厄介な代物なのです。コレステロールは肥満の敵、生活習慣病の元凶ともいわれますが、実はこのコレステロール、私たちの体の中では性ホルモンを作る元になっている大切な物質なのです。子供から大人になっていく-成熟していく-過程において、コレステロールは男性ホルモンや女性ホルモンを作るという大切な役割を担っています。したがって、成長期にはコレステロールが必要不可欠なのです。
 
ところが年齢を重ねるにつれて、そして40代から50代になる頃には、私たちの体は「もう、必要がないだろう」と判断して、性ホルモンを作らなくなります。コレステロールは若い頃と同じように摂っているのに性ホルモンの分泌が減ってくるため、両者のバランスが崩れ、それが中年太り(肥満)を招いてしまうのです。ある程度の年齢になったら、できる限りコレステロールの元になるような動物性脂肪は控えるようにすることです。そうすることが生活習慣病の予防にもなり、老化を遅らせることにもつながります。
 
コレステロールと性ホルモンには大きな関係があります。そこで注意しなければならないのは家庭内での食生活です。子供と大人が同居している家庭で同じ食事をすれば、必ずどちらかに弊害が出ます。子供たちはコレステロールを摂ることによって大人になっていきますが、それと同じものを大人が食べれば肥満の道を突き進むことになります。逆にコレステロールの少ない食事が中心になると大人はスマートな体形を維持することができますが子供は成長不良になってしまいます。食事は年齢とともに変えることが重要なのです。
 
 

 
昔から「腹八分」といわれるように、食事は満腹になる前に箸を置くくらいが理想的です。腹八分では我慢しきれず、いつも満腹になるまで食べる人は明らかに食ペすぎです。そして食べすぎは老化を早め、寿命を縮めます。これは動物実験でも証明されています。
ネズミを二つのグループに分けて、一方は好きなだけ餌を食べさせ、もう一方は餌の量を制限する。両者の生存率を比べると、好きなだけ餌を食べたネズミは短命に終わりました。このグループのネズミに共通していたのは、DNAの酸化産物が若いときから蓄積していたことです。これは、たくさん餌を食べた分だけ食べ物を燃やす酸素が多く消費され、活性酸素の量が増えるからだと考えられます。
 
また、過食は肥満の原因になり、肥満は老化の原因になります。運動不足と過食は肥満を招き、肥満は高血圧、タバコ、ストレスなどとともに動脈硬化の呼び水になります。動脈硬化は脳出血、脳梗塞、心筋梗塞の導火線になります。50歳以上の高齢者の最低必要カロリーは、男性が1200~1300キロカロリー、女性は1000~1100キロカロリーといわれています(健康・栄養庸報研究会編『第六次改定 日本人の栄養所要量(第一出版、1999)』より)。最低必要カロリーを維持することはもちろん大切ですが、それ以上に気をつけなければいけないのは過食による必要以上のカロリー摂取なのです。主な外食のカロリー目安(一人前)は、このようになっています。
 

外食・市販食品のカロリー比較

・ サーロインステーキ   1030キロカロリー
・ カツ丼          960キロカロリー
・ 天丼          920キロカロリー
・ うな重         830キロカロリー
・ ミックスサンドイッチ   700キロカロリー
・ チャーハン       700キロカロリー
・ ちらし寿司       660キロカロリー
・ もやしそば        640キロカロリー
・ 鉄火どんぶり      620キロカロリー
・ 鍋焼きうどん      600キロカロリー
 
※『外食・市販食品のエネルギー・塩分・たんばく質ガイドブック』-女子栄養大学出版部を参考に作成
 
カツ丼や天丼を食ペてしまうと、あとは何を食べても1日に必要なカロリーをオーバーしてしまいます。若い頃に比べて運動量も減り、代謝能力も低下した体に必要以止の食ペ物が入ってカロリーオーバーになると、免疫力が低下します。免疫力の低下は、脳の老化、体の酸化とともに老化を進める元凶になります。したがって、免疫力を低下させる食事は避けなければなりません。お年寄りが風邪を引いたときに「食べないと体力がつかないから」ということで無理に食べさせようとする家族がいますが、これは逆効果です。食欲が落ちているとき、お年寄りの体は免疫力が低下していて「もう、これ以上食べたくない」と言っています。免疫力が低下しているときに、さらに必要以上の食事を摂らせると、免疫力は低下するばかりです。
 
 

 
私たちの免疫機能はさまざまな要因により低下します。加齢による免疫機能の低下、そしてストレス、さらに食生活が大きな要因といわれています。私たちの体内では毎日3000~4000個ものがん細胞が作られています。しかし、がん細胞が作られたからといって、すべての人間ががんになるわけではありません。私たちの体には、細菌などの異物が進入すると、それを無害化したり排除する防御システムが備わっています。これを「免疫機構」といいます。免疫機構は「自己」と「非自己」を区別して、異物だけを攻撃します。免疫機構の中心的な役割を果たしているのはT細胞という細胞です。T細胞のもとは骨髄で作られ、骨髄から血管を通って胸腺という器官にやってきます。T細胞は胸腺で厳しい教育を受けて免疫機構の働きを担う細胞になります。胸腺の老化は早い時期から始まり、20歳台で半分が脂肪に置き換わってしまいます。さらに年をとって中高年になると胸腺はほとんどなくなり、脂肪だけになってしまいます。
 
このような形で私たちの免疫機能は年齢を重ねてゆくにつれて衰えてきます。さらに活性酸素や食品添加物、大気汚染も偏った食生活、体に負担をかける生活習慣等々、日常生活においても免疫機能を低下させる原因には事欠かない有様です。がん細胞は、免疫機能の衰えを待っていたかのように、働き盛りの体に襲いかかってきます。そして猛烈な勢いで増殖を繰り返し、体をポロポロにしてしまうのです。がんになるとがん細胞から免疫を抑制する物質が出て、これが免疫機能を低下させます。がんの治療において抗がん剤や放射線を使うことで、極端に免疫機能が低下します。誰にも加齢にストップをかけることはできません。まずは日常生活を見直して、がんの要因を極力排除して、免疫機能の低下を遅らせることが重要です。加齢は避けられないことですが、最近はストレスが免疫力を低下させる一番の要因だという声が多く聞かれるようになってきました。がんの治療をして退院する。その後、再発するかどうかを一番大きく左右するのはストレスだという説です。中でも最大のストレスは親族-特に配偶者-との死別で、治療後に配偶者が亡くなると、必ず再発するということです。二番目が離婚によるストレス、三番目が経済的問題からくるストレスという順になっています。UCLA/DREW医科大学のマンドウ・ゴーナム博士が長年の臨床経験から「治療後も治療前と同じ生活リズムを送り、同じ仕事量をこなしていると、必ず再発する」と、がん患者に警告を発しています。さらに博士は、配偶者との死別、会社の倒産、大地震(ロサンゼルス)で財産を失くした人たちに再発が多く見られたと報告しています。
 
 

 
日本人の死因の第1位はがん、第2位は心疾患、第3位は脳血管疾患となっており、相変わらずがんが死因のトップにランクされています。人間の体は約60兆個の細胞でできています。細胞の中心部には核があり、核の中には遺伝子が入っています。外部や内部から何らかの刺激で遺伝子に異常が起こると遺伝子は誤った情報によってタンバタ質を作り始めます。そして正常細胞は突然変異を起こしてがん細胞に変化します。
遺伝子に異常を起こさせる因子や、がん細胞の分裂を促進してがん細胞を増殖させる因子となる環境因子や発がん物質には次のようなものがあります。遺伝子を傷つけ、細胞をがん化させるものには、活性酸素、放射線、紫外線、化学物質、ウイルスなどがあります。がん化を進行させる発がん物質には、タバコ、カビ、タンパク質の焼け焦げ、食品添加物などがあります。
 
したがって私たちががんにならないためには、細胞をがん化させ、がん化を進行させる要因を排除しなければなりません。発がんを抑え、がんに対抗するためには、体の免疫力を強化したり、活性酸素を中和したり、発がん物質を体外に排除したり、がん化した細胞を修復する働きを持つ発がん抑制物質が必要になります。
 
発がん抑制物質としては、活性酸素抑制物質として有名なSOD(スーパーオキシド・ディムスターゼ)や、野菜や果物などの植物性食品に多く含まれているビタミンCやビタミンE、βカロチン、カテキン、食物繊維、ポリフエノール(光合成によってできた植物の色素や若味の成分で抗酸化力に優れた物質)などがあります。ポリフエノールは5000種類以上あるといわれていますが、代表的なものとしてはブドウの種や皮に含まれているアントシアニン、フラボノイド、赤ワインポリフエノール、カカオポリフエノールなどがあります。緑茶の渋み成分に抗酸化力があるといわれるカテキンもポリフエノールの一種です。食物繊維には、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、ベクチン、マンナン、アルギン酸などがあります。
 
がん対策としては、以前は定期検診による早期発見・早期治療でがんの死亡率を低くすることに重点が置かれていました(2次予防)。しかし、がんの疫学的研究や実験的研究によりがんのメカニズムが徐々に明らかになるにつれてがん対策のスタンスも変わり、現在では生活習慣や生活環境を改善し、食物や環境中の発がん物質などの危険因子を除去していく1次予防に重点が置かれています。国民健康づくり運動「健康日本21」では、がんを防ぐために12ケ条をあげています。
 
 〇バランスのとれた栄養をとる
 ○毎日、変化のある食生活を
 ○食べすぎを避け、脂肪は控えめに
 ○お酒はほどほどに
 ○タバコは吸わないように
 ○食べ物から適量のビタミンと繊維質のものを多くとる
 ○塩辛いものは少なめに、あまり熱いものは冷ましてから
 ○焦げた部分は避ける
 ○カビの生えたものに注意
 ○日光に当たり過ぎない
 ○適度にスポーツをする
 ○体を清潔にする
  
 

 
厚生白書によると、寝たきりの原因は、脳血管疾患・心疾患=42.6%、骨粗しょう症・骨折=13.2%、認知症=7.0%、リウマチ・関節痛・神経痛=7.6%、その他=29.6%となっています。この中で、骨組しょう症は閉経後の女性の骨が溶けることによって起こる疾患で、原因がわかっていても避けがたい面がありますが、問題は残りの疾患です。
 
脳血管疾患・心疾患は動脈硬化に由来するもので、これだけで寝たきりの原因の40%強を占めています。高食塩食、タバコ、ストレス、運動不足、過食は動脈硬化の原因になり、軌脈硬化は脳出血や脳梗塞、心筋梗塞の原因になりますが、いずれも生活習慣に問題を抱えた結果の深刻な事態だということがわかります。生活習慣を改めることで脳血管疾患・心疾患を予防することができます。そうすれば、寝たきりの40%はいなくなるのです。
 
認知症にしても、糖を毎日120グラム摂り続け、過食を避け、適度な運動をしていれば、脳の老化を遅らせ、呆けを防ぐことができます。
 
リウマチは免疫異常によって起こる自己免疫疾患です。免疫系は自己と非自己を認識して、外部から進入した有害物質に攻撃を仕掛けるようになっています。ところが、何らかの理由で自分の体の一部を非自己と認識してしまい、これを攻撃してしまうことがあります。これを自己免疫疾患といい、その仕組みはアレルギーと良く似ています。自己免疫疾患とアレルギーとの違いは、アレルギーは外から進入した抗原に反応するのに対して、自己免疫疾患は自分の体の一部を抗原とみなして攻撃しまうことです。加齢とともに免疫力は低下します。それは単純に免疫力が低下してリンパ球の働きが弱くなるということ以外に、炎症性の細胞が増えてくることもあります。その場合には免疫異常が起こります。免疫異常がリウマチを発生させる原因なら、その原因を除去する-免疫系を正常にする-ことがリウマチの発生を予防する手段になります。免疫系を正常にするためには免疫力を強化しなければなりません。
 
脳神経疾患・心疾患と認知症とリウマチ・関節痛・神経痛、この三つを合わせると寝たきりの原因全体の60%弱になります。この60%弱に相当する人たちの大半は、日頃の生活を見直し、重大疾患の原因を取り除くことで生活習慣病を回避することができるのです。ひいてはそれが寝たきりにならないことにもつながるのです。
 
 

 
日本人の平均寿命は世界一ですが、高齢化社会で大きな問題になるのが、がん、脳卒中、心臓病などの生活習慣病です。今後はさらに高齢化に拍車がかかることから、生活習慣病の増加と痴呆症や寝たきり老人の増加は避けられないところです。それでも、こうした生活習慣病の原因がわかり、それを排除することができれば、歳をとっても健康な生活を送ることはできます。それには老化のメカニズムを理解して、生活の中で老化を予防し、老化を遅らせることを考えなければなりません。老化を促進する原因には高血圧、糖尿病、肥満、ストレス、活性酸素などがあり、生活習慣病の引き金になります。
 
 

 
血庄は年齢とともに高くなります。老化により血管が弾力性を失うためで、最高血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上、もしくは最低血圧(拡張期血圧)が90mmHg以上なら高血圧といえます。高血圧は狭心症や心筋梗塞などの心疾患や、脳卒中、腎臓病などの危険因子として知られ、肥満、糖尿病、高脂血症と合わせて「死の四重奏」と呼ばれています。血管は加齢とともに弾力性を失っていきます。これは生理的な変化ですが、それとは別に塩分の摂りすぎや肥満やストレスなども高血圧の原因になります。塩分の過剰摂取は血液中のナトリウム量を増加させます。それを薄めようとして血管壁から水分が血液中に浸透することにより、血液の全体量が増えてしまい、その結果として血圧が高くなります。
 
肥満も高血圧を促進させる因子です。肥満した人の心臓は体の隅々まで血液を送り届けるためにポンプの収縮力を上げます。それが高血圧の原因になるのです。また、太っていると膵臓から分泌されるインスリンの働きが低下するため、インスリン抵抗性が起こりやすくなります。インスリンは食事で摂った糖分がエネルギーとして使われたり、脂肪として蓄積されるように働きます。肥満体の人は食べ過ぎる傾向があるため、インスリンもたくさん分泌されますが、長く続くとインスリンの働きが悪くなります(インスリン抵抗性)。それを補うために膵臓はさらに大量のインスリンを分泌するため、血液中のインスリン量は増えて、高インスリン血症の状態になります。高インスリン血症は交感神経を刺激したり、ナトリウムを体内にとどめるなど、血圧を上げる原因になります。しかも、インスリン抵抗性とそれに伴う高インスリン血症は糖尿病の原因になります。
 
糖尿病は動脈硬化を促進します。肥満は高血圧と糖尿病を合併しやすいため、太りすぎは非常に危険な症状といえるでしょう。また、血管に動脈硬化が起きていると血液がスムーズに流れなくなり、それが血圧を上げる原因になります。
 
高血圧の予防は、血圧をコントロールすることです。そのためには、塩分の摂りすぎ、肥満、運動不足、ストレスなどの血圧を上げる要因を極力排除するよう心がけることが大切です。塩分は1日7グラム以下に抑え、ナトリウムの排泄を促すカリウムや、カリウムの働きを助けるマグネシウムをたくさん摂ることが必要です。また、日常生活に適度な運動を取り入れることは、食事で摂ったエネルギーを消費し、肥満を防ぐとともに、高血圧や動脈硬化、糖尿病などの予防にもなります。適度な運動は、動脈硬化を予防する血液中の義玉コレステロール・HDLを増やし、逆に動脈硬化を促進する中性脂肪を減らす効果があります。
 
 

 
高脂血症は、血液中の総コレステロール値や中性脂肪値が正常より高い状態(通常は220mg/dl以上)をいいます。高脂血症の状態が長く続くと、太い動脈の内側にコレステロールがたまり、血管が狭くなるため、血液がスムーズに流れなくなります。さらに、そこに血栓などが付着すると動脈の弾力性がなくなります。これが動脈硬化です。動脈硬化になると、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患になる可能性が高まります。総コレステロール値と虚血性心疾患には相関関係があります。総コレステロール値が240~260mg/dlの人は130~220mg/dl(正常値)の人に比べて約2倍、280~300mg/dlの人は約3倍、300mg/dl以上の人は4倍以上、虚血性心疾患を発症しやすいのです。高脂血症の主な原因は、肉類や卵、バターなど動物性脂肪の摂りすぎです。こうした食べ物には飽和脂肪酸やコレステロールが非常に多く含まれており、それが血液中の総コレステロール値や中性脂肪値を高めるのです。
 
 

 
心臓は人が生きている間、休むことなく収縮と拡張を繰り返し、体の隅々まで血液を送り出しています。心臓は、ポンプの役目を果たすために膨大なエネルギーを使っています。その作業を順調に行うためには心臓の筋肉が活動するのに十分な血液が供給されなければなりません。ところが、何らかの原因で心臓に十分な血液が供給されなくなると虚血性心疾患が起こります。虚血性心疾患には狭心症と心筋梗塞があります。動脈硬化により心臓を取り巻く冠状動脈が狭くなっている人が、急激な運動をすると心臓の酸素消費量が増加します。そのときに、心臓の筋肉が必要とする酸素が供給されないと、胸の痛みや圧迫感に襲われます。これが狭心症です。狭心症の原因としては高血圧があります。高血圧の状態が長期化すると、心臓はより強い力で全身に血液を送り出そうとします。これが繰り返されるうちに心臓は肥大化します。肥大した心臓はそれまで以上にエネルギーを使うようになるため、たとえ冠状動脈が正常に機能していても心臓の筋肉を構成する細胞が酸素欠乏を起こしやすくなります。また、心臓が肥大すると心筋細胞が硬くなります。硬くなった心臓が拡張するのは容易なことではありません。心臓は、収縮しているときに血液を全身に送り出します。そして心臓が拡張しているときに、心筋に血液が流れ込みます。ところが心筋が十分に拡張できない状態では必要な血液量が心筋に流れず、虚血状態になってしまうのです。血液中のコレステロールなどの脂質が血管の内幕に沈着して、動脈が狭窄した状態を冠状動脈硬化症といいます。この冠状動脈硬化症が狭心症の直接原因になります。狭心症は冠状動脈硬化により必要な血液が心臓に供給されず、酸素不足になって起こります。それに対して、同じ虚血性心疾患でも心筋梗塞は冠状動脈が完全に詰まった状態、もしくは高度の狭窄によって血液の供給が完全に止まり、心筋が壊死を起こした状態をいいます。日本人の死因の第2位は心疾患ですが、その中でも多いのが心筋梗塞で、それだけに非常に怖い病気です。
 
 

 
脳の血管障害を総称して「脳卒中」といいます。脳卒中は、脳内の血管が破れる脳出血、脳を覆っている軟腺と、その上のくも膜の間で出血するくも膜下出血、そして脳の血管が詰まる脳梗塞の三つに分けられます。以前は脳出血が圧倒的に多かったのですが、現在では脳梗塞が脳卒中全体の6割に達しています。脳梗塞は、ある日突然なることもあれば、徐々に症状が現れることもあります。手足の麻痺、呂律が回らなくなる、言葉がうまく出なくなる、まっすぐ歩けなくなる、などが脳梗塞の症状です。脳梗塞は加齢とともに確実に増える病気です。高齢化社会が進めば進むだけ脳梗塞にかかる人も増えていくのです。脳梗塞は脳の血管が詰まり、血液が流れなくなることによって、その先の脳細胞に酸素や栄養素が届かず、脳細胞が壊死してしまう病気です。一度死んだ細胞は再生することができません。そめため、脳梗塞を発症すると様々な後遺症が残るのです。脳梗塞には血管の詰まり方によって脳血栓、脳塞栓、ラクナ塞栓に分けられています。
 
脳血栓は脳の血管の動脈硬化が原際で起こります。硬くなった血管壁には血液に含まれる様々な物質が沈着しやすくなり、その結果、血管が狭くなります。また、硬くなった血管は傷つきやすく、そこに血の塊(血栓)ができて血管が詰まってしまうのです。脳血栓の危険因子としては高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙などがあります。この中で最も気をつけなければいけないのは高血圧です。高血圧が「サイレント・キラー」といわれます。それはこのようにして、生命に関わる病気に深く関わっているからなのです。
 
 

 
日本人の平均寿命は世界一ですが、長生きをしている人たちの中には介護が必要な人、寝たきりの人、痴呆の人も数多く含まれています。これは肉体的もしくは精神的に健康とはいえません。日常生活で他人の手を煩わせることなく、しかも意識がしっかりした状態で日常生活を送っているのが健康的な生活であり、その状態で何年生きられるかが大切なのです。こうしたことから最近重視されてきたのが「健康寿命」です。健康寿命というのはWHO(世界保健機構)が提唱した指標で、病気や痴呆、衰弱などで要介護状態になった期間を平均寿命から差し引いた寿命のことをいいます。端的にいえば「介護の必要のない生存期間」が健康寿命の定義であり、これは老化を遅らせる「アンチ・エイジング」の観点からいっても非常に値打ちのあることなのです。
 
2003年のWHO調べでは、日本の平均寿命は、男性が77.9歳、女性が84.4歳ですが、健康寿命は、男性が71.4歳、女性が75.8歳と、平均寿命より7~8年短くなっています。全般的に長寿国では平均寿命と健康寿命の差が大きくなりますが、その差をどこまで少なくするかが「アンチ・エイジング」のテーマといえます。日本は平均寿命で世界1位、健康寿命でもスイスについで第2位ですから、世界も羨む健康大国といえます。しかし、それが今後も続くのかというと、大きな疑問符が付きます。なぜなら、ここ数年間における健康寿命は明らかに右下がりで推移しているからです。劣悪な環境と、食生活を含めてレベルの低い生活習慣、蓄積されるストレス・・・
 
このように、健康寿命を伸ばすには今の日本にはあまりにも悪条件が多過ぎます。日本がもがき苦しんでいる間に、アメリカでは健康寿命を伸ばすためにダイナミックな改革を行い、徐々にその成果が現われつつあります。生活習慣病に無関心だった一昔前のアメリカでは、誰もがタバコをプカブカ吸って、野菜や魚はあまり食べず、コレステロール値の高い肉類や乳製品をお腹に詰め込み、アイスクリームやジュースなどの糖分が多く含まれた食べ物を必要以上に食べて飲んで、明らかに過食にもかかわらず運動はしないという荒っぽい生活をしていました。これでは生活習慣病になるための身体作りをしているようなものです。当然のようにアメリカ人の健康寿命は短く、深刻な社会問題になりました。
 
そこでアメリカ社会は生活習慣を見直し、生活習慣病の追放に向けてさまざまな手を打ってきました。その典型的な1例が「禁煙、ローコレステロール、ローシュガー」の徹底です。アメリカ人は動物性脂肪を減らし、糖分を減らす一方で、1日5種類以上の野菜と果物を摂るようになりました。肥満体のビジネスマンは「自己管理ができないダメ人間」と見なされ、管理職への道が閉ざされました。タパコのコマーシャルはテレビから姿を消しました。従来の生活習慣を改めないで、ビジネスマン失格の烙印を押されるほうを選ぶのか?それとも体のためになる生活習慣に切り替えるほうを選ぶのか?それはもちろん本人の自由ですが、このキャンペーンが始まってから、それまで生魚など食べたことのないアメリカ人が好んでお鮨を口にするようになったのは紛れも無い事実です。「ローコレステロール、ローシュガー」キャンペーンの中心として動いたのは、それによって一番損害をこうむるアメリカの食品メーカーでした。この勇気ある行動により、アメリカ人の健康寿命は着実に伸びつつあります。
 
その昔、日本人が好んで使った言葉の一つに「アメリカが風邪を引くと、10年後に日本が風邪を引く」というものがありました。戦争に負けた日本は、豊かな生活を送るアメリカに追いつくために身を粉にして働き、短期間で経済大国の仲間入りをしました。
 
一方、ベトナム戦争で疲弊したアメリカは経済面を日本に任せて、自分たちは医療を中心とした福祉に巨額の国家予算をつぎ込むようになりました。その過程でがんの研究が進み、同時に生活習慣病に対する見直しが始まっていました。アメリカが健康を直視していたとき、日本はバブル経済に浮かれ、世界中の食べ物を見境もなく胃袋に詰め込んでいました。中心となったのは動物性脂肪でした。アメリカが生活習慣をダイナミックに変換したのに対し、日本では相変わらず肉食中心の食生活が主流を占め、さらに過食、偏食、ストレス、運動不足が加わり、生活習慣病は一向に減る気配を見せません。このままでは日本人の老化は早まるばかりで、生活習慣病の低年齢化は避けられそうもありません。
 
「健康日本21」は、健康寿命を伸ばす食生活5つのポイントをあげています。
 

  • 塩分を控える
    食塩は血管の老化を早める元凶。WHOでは食塩摂取量の目標を1日6グラム以下としています。調味料として塩を使わなくても、日常の食材から1日3グラム前後のナトリウムを摂っているのを忘れないこと。
  • 動物性脂肪のとりすぎに注意
    丈夫な血管を保つには良質のタンパク質が必要ですが、タンパク源としては肉より魚を食べるなどして、動物性脂肪はあまりとらないようにすること。
  • 野菜たっぷり、果物どっさり
    野菜と果物はビタミンC、ビタミンE、ポリフエノールなどの抗酸化物質やカリウムの宝庫。血管を傷めつける活性酸素を消去し、血圧を下げてくれます。
  • 牛乳・乳製品を積極的にとる
    牛乳・乳製品は良質のタンパク質とカルシウムの重要な摂取源。血管と骨を若く保つのに欠かせません。ヨーグルトには腸年齢の若返り効果も期待できます。
  • 大豆製品、魚、海藻をきちんととる
    大豆は良質のタンパク質、カルシウム、イソフラボンの摂取源。魚はEPAやタウリンが豊富です。海藻に含まれている水溶性食物繊維は余分なコレステロールの吸収を妨げるほか、腸内でピフィズス菌の増殖を助け、腸の若さを保ちます。

 
 

 
誰でも一年ごとに年輪を重ねていきますが、年輪の重ね方によって人は魅力的な老人になることができます。魅力的な老人というのは社会に溶け込み、社会の中で愛され、情緒が豊かで、充実した生活を送っているものです。こういうタイプの老人に共通しているのは、常に適度な緊張感を持っていることです。緊張感を持っているとストレスに強くなり、少々のことではくよくよしなくなります。常に緊張感をもっていると副腎皮質が強化されて、副腎皮質からストレスに対する防衛ホルモン (抗ストレスホルモン) が分泌されるからです。会社を定年退職した途端に虚脱感、脱力感に支配され、そのまま気持ちの切り替えができないままズルズルと目的のない生活を続けていると、それだけ老け込むスピードに拍車がかかり、社会から置いてきぼりを食ってしまいます。適度な緊張感を保つと同時に、情緒豊かな心を持つことも、老化を遅らせる重要な要素になります。
 
脳細胞は加齢とともに小さくなっていきます。ところが、知性的で愛情あふれる人間的な脳の働きは、50歳、60歳、70歳になっても発達するのです。魅力的な人との出会い、魅力的な芸術との出会い、魅力的な本との出会い-さまざまな出会いを通して脳細胞を使っているうちに、新しい回路が作られ、脳の働きは活性化します。よく「歳をとると涙もろくなる」と言われます。実際に、若い頃なら泣かなかったことでも、中高年になると簡単に泣いてしまうことがあります。これは老化のせいではなく、年輪を重ねたことによって情緒が高まったからだと思われます。ある程度の年齢になってきたら情緒の部分を鍛えること、これが魅力的な老人になる第一歩です。
 
 

 
動脈硬化や血栓を防ぐことは、脳卒中や心筋梗塞を防ぐことにつながります。問題は、どうすれば動脈硬化や血栓を防ぐことができるのか、ということです。コレステロールがあって、そこで活性酸素が発生して過酸化脂質ができる。それが血栓になって血管を塞いでしまう。血管が詰まると、それが脳卒中や心筋梗塞の引き金になります。 
 
○予防策
 ①エネルギーの摂りすぎに注意すること(食べ過ぎない)
 ②脂質は全エネルギーの25%以下しか摂らないこと(脂ものは控える)
 ③動物性脂質を控えて植物性油脂や魚を食べること
 ④食物繊維を1日20~25グラム摂ること(野菜をしっかり食べる)
 ⑤抗酸化物質を含む食品を努めて食べること(色の濃い野菜や果物をたくさん食べる)
 
コレステロールの摂取量をできるだけ少なくする。そして活性酸素を発生させる重要な因子といわれているタパコを吸わず、ストレスを溜めない。この二つが揃えば動脈硬化や血栓を防ぐ確率は非常に高くなります。既にコレステロールや活性酸素が溜まっている場合には、コレステロールを取り除くようなものや活性酸素を除去するようなものを極力食べるようにすることが動脈硬化や血栓の予防につながります。
 
それでは一体、どんな食品にコレステロールが多く含まれているのかを、100グラムあたりの含有量で見ていきましょう。(表:コレステロールの多い食品)
 
 

 

食品名 コレステロール含有量

 
全卵                    373mg
チーズ                   75mg
たらこ                 340mg
うなぎ                 215mg
うに                    290mg
イカ                    330mg
鶏もつ                 420mg
クルマエビ           218mg
豚レバー              467mg
あわび                 140mg
マヨネーズ           375mg
しらす干し           285mg
 
卵(全卵)のコレステロール値が高いのは誰もが知っていますが、卵を原料にしているマヨネーズも卵と同じ高コレステロール食品だということはそれほど知られていません。コレステロール値が高いからという理由で卵を食べない人がマヨネーズを食べたのでは全く意味がありません。老化を予防するためには、できるだけマヨネーズを食べないようにすることです。肉類では牛に比べてコレステロールが少ないと思われている鶏や豚ですが、鶏もつには100グラム中420ミリグラム、豚レバーには467ミリグラムものコレステロールが含まれているのです。魚介類ではイカの高コレステロール(100グラム中330ミリグラム)が目立つほか、骨にいいといわれているシラス干しのコレステロール値が意外に高いので要注意です。この中で特に気をつけなければいけない食べ物としては、イカと鶏もつと豚レバーです。こうした食品は思いのほかコレステロール値が高く、しかも食べる機会が多いため、コレステロールが溜まりやすい傾向にあります。
 
 

 
活性酸素は、がん、動脈硬化、糖尿病、心筋梗塞など様々な病気との関連が指摘されていて、緒悪の根源のようにいわれています。活性酸素は普通の酸素よりも活性化された状態の酸素と、その関連物質のことをいい、スーパーオキサイド、過酸化水素、ヒドロキシラジカル、一重項酸素の4種類があります。空気中の酸素は酸素原子(O)が2個結合した「O2」という、化学反応が起こりにくい安定した状態で存在しています。つまり、「O2」は化学的に不活性なのです。この安定した状態の分子が電子を1個受け取ると、電子のペアとなる相手を探し求めるために不安定な状態になります。つまり、不活性な状態から活性化された状態になるのです。これが活性酸素と呼ばれるもので、スーパーオキサイドは代表的な活性酸素として知られています。
 
私たちは食物から得た栄養物を、呼吸で得た酸素によって酸化することでエネルギーを生産しています。酸化と還元はどちらも酸素の化学反応ですが、酸化とは酸素と結合するか、電子を失う化学反応のことをいい、還元とは水素と結合するか、逆に電子を受け取る化学反応のことをいいます。エネルギーが生産される過程で酸素の分子は4個の電子を受け取り、水に還元されます。大部分の酸素はこうして水になりますが、この過程で電子を1個だけ受け取り、中途半端に還元されたものが漏れ出すことがあります。これが活性酸素スーパーオキサイドになるのです。
 
スーパーオキサイドがさらに電子を1個受け取ると、過酸化水素になります。過酸化水素は消毒薬のオキシドールとして身近な物質で、それほど強い毒性はありません。ただ、スーパーオキサイドよりも安定しているためその分寿命が長く、細胞膜を通過して広範囲に毒性を及ばします。
 
この過酸化水素はスーパーオキサイドや金属イオンと反応してヒドロキシラジカルを生成します。ヒドロキシラジカルは最も反応性の強い活性酸素です。活性酸素は呼吸以外にも紫外線、農薬、抗がん剤、タバコの煙などさまざまな原因によって体内で発生します。紫外線が皮膚に当たると活性酸素が発生しますが、これは皮膚の老化を早めます。活性酸素は体を傷つける毒作用を持っていますが、プレオマイシンやアドレアマイシンなどの抗がん剤はこれを利用したものです。プレオマイシンやアドレアマイシンはこうした体の中で活性酸素を発生させます。この活性酸素の力でがん細胞を殺してしまうのです。しかし、抗がん剤はがん細胞だけでなく、同時に正常細胞にも傷害を与えてしまうため、それが強い副作用となって現れるのです。また、体内に侵入した細菌を白血球が殺すときも活性酸素が活躍します。このように活性酸素は一概に緒悪の根源といえない面を持っているのです。
 
ところが、白血球が細菌を殺すために作り出された活性酸素は往々にして周辺組織に傷害を与えてしまうのです。これが炎症の原因になるといわれており、肝炎や腎炎、アトビー性皮膚炎など「炎」につく病気には少なからず活性酸素が関係しているといわれています。
 
 

 
活性酸素には体を構成している脂質、タンパク質、核酸を攻撃して傷害するだけの破壊力があり、これが老化の元になっています。タンパク質は体全体の15~20%を占めていて、その種類は3万から10万種類といわれています。タンパク質には多様な機能があり、その多様な機能によって複雑な生命現象が支えられています。タンパク質は20種類のアミノ酸がさまざまに配列され、結合してできています。これが活性酸素によって傷害されると、いくつかのアミノ酸が酸化されてカルポニル化合物という物質に変化します。このカルポニル化合物は老化とともに脳や水晶体で増加します。活性酸素は脂質にも傷害を与えます。脂質は細胞膜の主成分ですが、活性酸素の攻撃を受けると脂質が酸化して、過酸化脂質が生まれます。それによって細胞膜の性質が変わったり、細胞の中身が漏れ出したりします。また、過酸化脂質は強い酸化力を持っているため、タンパク質など体のほかの成分を酸化して障害を与えるのです。酸素を利用する生物には活性酸素から身を守る仕組みが備わっています。ようするに体内で発生した活性酸素を消滅させる機構で、担当するのは酵素と抗酸化物質です。
 
酵素は、スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)、カタラーゼ、グルタチオンベルオキシダーゼの3種類。SODはスーパーオキサイド「SO」を分解して過酸化水素と酸素に変える働きを持っており、活性酸素を消滅させる主役的な存在です。SODは必要に応じて作られますが、加齢とともに産生能が低下するため、20歳を過ぎた頃から活性酸素の暴走を止めることができなくなります。食物における抗酸化物質の代表には、ビタミンCとビタミンEがあります。ビタミンCは別名をアスコルピン酸といい、水溶性ビタミンの一種です。ビタミンEは別名をトコフエロールといい、脂溶性ビタミンの一種です。
 
 

 
健康維持に必要な食物繊維は9~12グラムですが、動脈硬化の予防には20~25グラム必要です。私たちの体がこれだけの量の食物繊維を摂るのは大変なことなのです。組み合わせて食べなければ1日の必要量を満たすことはできません。とくに食物繊維が多く含まれている食品は消化しにくいため、若い頃ならともかく、中高年になってこれだけの量を毎日食べるのは簡単なことではありません。食物繊維については相当意識して、しっかり食べるということを念頭に置かないと毎日食べ続けることはできません。食べ物だけで1日に必要な食物繊維を摂るのが大変なら、サブリメントで補うのも有効な手段といえるでしょう。一口に「食物繊維」といっても、繊維そのものの働きがどの食品においても全て同じというわけではありません。
 
 

 

食品名 1人前の量の目安 重量(g) 食物繊維(g)


スイートコーン 1本 200 6.0
おから 1人前 50 4.9
そば(生) 1玉 170 4.6
しいたけ(乾) 4-5個 10 4.3
玄米 ごはん(茶碗1杯) 110 3.7
糸引き納豆 小1パック 50 3.4
ごぼう きんぴらごぼう 70 3.4
きな粉 大さじ3杯 18 3.0
ライ麦パン 2枚 50 2.8
枝豆(正味) 塩ゆで 50 2.5
さつまいも 中1/2本 100 2.3
 
この表はそれぞれの食品を一人前摂ったときの食物繊維の量を示したものですが、量ではなく質の観点から評価したときには「ごぽう」が最高の食品です(過去には「ごぼうなんか何の役にも立たない」と言われた時期もありましたが・・・)。ごぼうを調理すると良い香りがして、ご飯のおかずとして最適です。日本では昔からごぼうを食事の友にしていましたが、アメリカ人にはそれが理解できなくて「日本人はどうして、あんな役に立たないものを食べているのか?」という認識しかなかったようです。日本映画で「私は貝になりたい」という名作があります。これは、アメリカ人にごぽうを食べさせた「フランキー堺」演じる日本人が戦犯になって、死刑になった話ですが、これなどは日本人とごぼうとの深い関係を端的に表わすエピソードといえます。
 
 

 
昭和40年頃はまだ「食物繊維」という言葉はなく、チラホラと「体の中を通過していく食物成分の中に、意味のあるものがあるようだ」という話が出始めた程度でした。それは一体何なのか?と言ったときに、大きなヒントになったのは「イギリスの海軍士官には糖尿病(を患っている者)が多い。マサイ族には糖尿病がいない」ということでした。両者の違いを調べると、排便の絶対量に大きな違いがありました。イギリス人は少ししか便が出ないのに対して、マサイ族は大量の便を出していました。その差は一体何だろうということから、食物繊維の働きが明らかにされたのです。日本人は食物繊維の働きが明らかになるずっと以前からごぽうを食べていました。それと同じような食べ物にコンニャクがあります。その昔、コンニャクは「砂下ろし」と言われていました。子供の頃は「砂下ろし」が一体どういう意味なのかわからず、大人に聞いても曖昧な答えが返ってくるだけでした。今考えると、多分あれはコレステロールに由来する胆石や尿路結石を流すことだったと思います。先人たちはそういう現象を知っていて、栄養学的にはまったく役に立たないという理由で無視され続けてきたコンニャクやごぼうを好んで食べていたのでしょう。
 
 

 
私たちはさまざまな食品を食べて生活をしています。それでも病気になることがあります。病気になったときには病気の原因物質を取り除くために薬を服用します。病気が回復の兆しを見せ始めたら健康食品を摂ることで再発を抑えます。また、健康食品を摂ることによって抗酸化力を高め、免疫力を強化し、脳を活性化することができます。ひいてはそれが老化の防止につながるのです。ここでは「健康維持」をキーワードにして、食品と薬品の機能を見ていくことにします。
 
食品の機能は一次機能と二次機能、そして三次機能に分けることができます。一次機能とは、一般食品に含まれている炭水化物、タンパク質、脂質に代表される、体力を維持するために必要な栄養素が持っている機能をいいます。二次機能とは、一般食品が持っている匂いや食感が本能に与える影響をいいます。三次機能とは「一般食品が持っている機能だけでは健康が維持できない」「病気から回復するまでに時間がかかりすぎる」「老化を防ぐことができない」「老化に歯止めがかからない」などというときに、一般食品の限界をカバーする目的で用意された健康食品がそれぞれ持っている機能をいいます。一般食品の機能は栄養素ですから、これが不足すると栄養失調になります。それに対して健康食品の機能は栄養素ではなく非栄養素ですから、健康食品の成分が不足しても栄養失調になることはありません。栄養失調になることはありませんが、健康食品には抗酸化力や免疫強化カ、脳の活性化力、血液浄化カなど、さまざまな機能を高める力があります。そうした機能が低下すると、ガンの発生を容易にする、がんの増殖をとめることができない、脳の働きが衰えて痴呆症状が現れる、血液がドロドロになる、寝たきりになる、というように、健康とは程遠い体になってしまうのです。
 
 

 
健康食品と薬品の働きは良く似ていますが、一番の違いは、薬品の場合は病気の原因となる物質にダイレクトに働くことです。抗生物質は菌を殺します。頭痛薬は病原物質のプロスタグランディンを排除します。それに対して健康食品には、その成分が病原物質にダイレクトに働いて排除するという働きはありません。病気に対して薬品が効果を発揮するという一事をもってすれば、薬品の機能のほうが健康食品の三次機能より優れているといえます。多くの医者は「だったら薬を使っていれば十分」と言いますが、それは健康食品の機能と役割をまったく理解していないから言える言葉なのです。それでは健康食品の存在価値はどういう形で示されるのか?ということになりますが、薬品に負けず劣らず、健康食品にも出番が用意されているのです。
 
日本人の死因の第一位のがんを例にとってみましょう。がん治療の主流は、外科的療法、化学療法、放射線療法の、いわゆる三大療法とよばれるものです。手術でがん細胞を摘出する、抗がん剤でがん細胞を殺す、放射線でがん細胞を焼き殺す。これでがんが治癒したわけではありません。がん細胞を取り除くことはできても、そのために行った手術や抗がん剤投与や放射線照射によって患者の体は大きなダメージを負っています。がん細胞を殺す薬はあっても、体のダメージを和らげ、健康を回復させるための薬などありませんが、健康食品の成分にはダメージを受けた患者の体を元に戻す機能があります。病気の元になっている物質を取り除く、そして健康食品の成分が持っている三次機能を高める、薬品と健康食品の二つが相まって、初めて病気の治癒につながっていくのです。
 
このように健康食品と薬品とではその働きが全く異なるため、比較すること自体に無理があります。薬品には病原物質にダイレクトに働いてそれを排除する働きがあり、健康食品には体の機能を高めることによって病原物質を排除する方向に持っていく働きがあり、どちらも健康を維持するために必要なものだということです。薬品だけでも、また健康食品だけでも足らない部分を、お互いに補う形で存在していると考えればわかりやすいでしょう。
 
 

 
食べ物には「色」がついています。人参にはβ-カロチンという黄色い色素が、ブルーベリーにはアントシアニンという紫色の色素が、トマトにはリコピンという赤い色素が、それぞれ含まれています。β-カロチンはビタミンではありませんが、体内でビタミンAが不足していると、必要な分だけビタミンAに変わり、残りはβ-カロチンとして体の組織に蓄積されます。β-カロチンには老化やがんの抑制や、心臓病を予防する効果が認められています。リコピンは活性酸素を除去する抗酸化物質ということで注目されています。活性酸素は体内で発生します。そして体内に侵入してきた細菌を殺す働き(抗菌作用)があります。しかし、活性酸素が過剰になると正常細胞まで破壊するようになり、これががんや老化の原因になります。リコピンはその抗酸化力によって活性酸素の働きを抑え、動脈硬化が原因で起こる高血圧や脳卒中、心臓病などの生活習慣病にも良い作用を及ぼします。アントシアニンは眼の働きを良くする効果があるということで話題を集めています。またそれ以外にも強力な抗酸化作用があるということもわかってきました。今でこそトマトの色素として有名なリコピンですが、昔は「リコピンは何の役にも立たない」と言われていました。リコピンの分子構造はβ-カロチンと非常に良く似ています。ただ、β-カロチンと違っているのは鎖が1ケ所だけ切れていて、そのためにビタミンAの働きがないことです。そのため「何の役にも立たない」と言われていました。その土地の人々が昔から食べ続けてきた食べ物には、単に美味しいだけでなく、きっと体にいい作用を及ぼしているはずです。「何の役にも立たない」と言われたトマトは、ヨーロッパではパスタにトマトのペーストを入れるように、調味料としてさまざまな料理に使われています。“きっとそれは、トマトに優れた機能性成分が含まれているに違いない”ということになります。今になってみればリコピンには老化を防ぐ働きがある非常に重要な色素だということがわかっていますが、その機能を知らなかった時代の人々はトマトが老化防止に一役買っていることなど知らずに食べていたのです。
 
 

 
動物においても植物においても、色素が生命現象に大きな役割を果たしているのは間違いありません。植物の葉の中には緑色のクロロフィル(葉緑素)という色素があります。クロロフィルは光合成を行なってデンプンを合成する触媒で、植物にとっては命の元になります。クロロフィルの中にはマグネシウムが入っています。このクロロフィルとマグネシウムの関係は、私たちの赤血球の中に含まれているヘモグロビンと鉄の関係に似ています。私たちは呼吸をすることで体に必要な酸素を取り入れ、いらなくなった二酸化炭素を吐き出しています。体の中に入った酸素は、細胞が正常に働いて、デンプンからエネルギーを取り出すために使われています。この大切な酸素を運ぶのが血液の仕事です。血液の中にはたくさんの赤血球があります。この赤血球に含まれているヘモグロビンが血液中の酸素を運び、二酸化炭素を集めてくるための大きな役割をしています。ヘモグロビンは酸素や二酸化炭素と結びつきやすい鉄分でできていて、赤い色をしています。この赤い色(血色素)が赤血球を赤く見せ、赤血球がたくさん流れている血液も赤く見せているのです。また、タコやイカなどの血液にはヘモシアニンという色素が含まれていて、ヘモグロビンと同じように酸素を運んでいます。ヘモシニアンは酸素と結びつくと青い色になるため、タコやイカの血液は赤ではなく青色をしています。ヘモグロビンやヘモシアニンと同じ役割をしているのがクロロフィルです。人がクロロフィルを食べても光合成をするわけではありません。しかし、クロロフィルがヘモグロビンやヘモシアニンと同じ役割をしていることから、私たちの体の中で何らかの形で生命現象に関わるような役割を果たしているのではないかと考えられます。植物のクロロフィルを食べると、体内でクロロフィルが分解されて、それがヘモグロビンの元になっているのではないかという気がします。「緑のものを食べると血が増える」というのは、それを指しているのだと思います。
 
 

 
トマトもそうですが、その国、その地域で、長い間食べられてきた食べ物には必ず体に良いものが含まれていると思います。別にその機能など知らなくても、人々は体に良い効果があるのを本能的に知っていて食べ続けてきたのでしょう。ただ、科学が食品の持つ機能を証明するまでに時間がかかっただけのことです。食べ物にはさまざまな栄養素が含まれていて、機能性成分が含まれています。ただし、食べ物だけでは栄養や機能を補い切れないこともあります。栄養素が不足して栄養失調になるなどということはほとんどありませんが、人それぞれに食べ物に対する好き嫌いがあり、それが必須栄養素の不足を招くことはあります。トマトには独特の匂いがあり、どうしても好きになれないという人がいます。嫌いなものはしょうがありません。その場合には健康食品でリコピンを補充します。その健康食品ですが、これを気休め程度に摂っても三次機能ははとんど働きません。食物繊維を思い出してください。食物成分を食べることによってコレステロールを減らすことができます。しかし、食物繊維を毎日20~25グラム摂らなければ動脈硬化を防ぐことはできません。これより少ない量の食物繊維を食べていては動脈硬化を防ぐことはできないのです。食物繊維と同じように、健康食品にも成分の機能を発現させるために必要な量があります。それは食品でありながら薬品の性質に近く、これを理解していないと、いくら健康食品を摂ってもそれが必要量以下の場合には不都合なことが起きてしまいます。基本的には最初に食べ物があります。それだけでは健康を維持することが難しいときには健康食品で不足分を補います。その際には、健康食品の持っている機能性成分が十分発揮されるように必要量をしっかり摂ることが大切です。がん予防のために一所懸命頑張って玄米菜食を実践していたのにがんになってしまった。トマトを毎日1個食べて、リコピンを十分摂っていたのにがんになってしまった。これは穀物にしても野菜にしても果物にしても、栽培時期や成長場所によって成分の度合いが異なるため、本人の計算とは違って実際にはがんや老化を予防するだけの必要量を摂っていなかったことが考えられます。食品の成分には機能性においてバラツキがありますが、その点では体に必要とされる一定量を補うことができる健康食品は便利な食品といえるでしょう。
 
 

 
健康食品の大きな役割の一つは、食品だけでは食い止められない老化にストップをかけることです。食品を食べているだけでは、なかなか老化を食い止めることはできません。健康食品がその成分機能を十分に発揮して、いつまでも若々しい体を保つことができれば、これほど幸せなことはありません。それなのに、巷に健康食品が氾濫する中で「健康食品」という名前だけが一人歩きして、その成分がとても健康食品とはいえないような代物が多く出回ったことで、最近は疑心暗鬼になっている感さえあります。そこで「何が健康食品として合格点を付けられるのか?」「どんな健康食品を摂れば寝たきりにならなくてすむのか?」を知るうえで、健康食品が満たさなければならない要件をピックアップしました。
 
 

〇機能性成分が明らかであること

 健康食品を選ぶ際に最も重要なのは、その健康食品には一体どんな機能性成分が入っているかが明らかにされていることです。
 

〇成分の含有量が明らかであること

 その健康食品には一体どのくらいの成分が入っているのかが明らかにされていなければ健康維持および機能性向上に必要な量はわかりません。
 

〇作用機序ができるだけ明らかにされていること

 その健康食品には免疫力を高める作用があるというときに、それがTリンパ球に働くのか、Bリンパ球に働くのかということが明らかにされていることです。