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難病末期癌からの生還~タイトル画像小

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B細胞(Bリンパ球)とは

難病末期癌からの生還区切り線

 
血液中に約2兆個存在するリンパ球のうち、20~30%はB細胞が占めています。抗体をつくり、敵(ウィルスなど)に向けて発射するのが役目です。
 
 

 
リンパ球の2大横綱といえば、T細胞とB細胞。この2つは、顕微鏡でどれだけ眺めても見分けがつきません。そのルーツも同じ。骨髄でつくられた幹細胞が、骨髄をでて胸腺に流れていけばT細胞に。骨髄でそのまま成熟すればB細胞になり、体の各部分に配置されて、免疫システムの重要な役割を担うわけです。
 
B細胞の存在を確認したのは、免疫学者ではなく、ホルモンの研究者です。彼は、生まれたばかりのニワトリに男性ホルモンを投与。すると、肛門近くにできるはずの袋状の臓器がつくられず、血清中に抗体があらわれないことを発見したのです。
 
この袋状の臓器がファブリキウス嚢と呼ばれるもので、ニワトリの場合、骨髄から流れてきた幹細胞はここで増殖・分化し、B細胞になるのです。ファブリキウス嚢は英語でBursa Fabricii。この頭文字をとって、B細胞と呼ばれるようになりました。人間などの哺乳動物にはファブリキウス嚢がなく、今のところそれに相当する臓器も見つかっていません。
 
 

 
T細胞とB細胞は見た目はそっくりですが、もちろん役目はまったく違います。T細胞はおもに、ウィルスなどに感染した細胞を見つけて排除します。それに対して、B細胞は抗体という液性の物質をつくり、異物に向かって発射し、殺すのが務めです。
 
たとえば、水疱瘡のウィルスが体内に入ってきたとします。ウィルスはリンパ液の流れにのって、B細胞のいるリンパ節に入ります。B細胞表面には、アンテナ役の抗体分子が並んでいて、それとウィルスが結合。ウィルスは細胞内に取り込まれ、こなごなになった断片がB細胞表面に提示されます。
 
ヘルパーT細胞がこの断片に気づくと、インターロイキンという刺激物質をB細胞に向けて発射。これが合図となり、B細胞は細胞分裂しながら抗体が合成できるように性質を変化します。これが「プラズマ細胞(抗体産生細胞)」です。プラズマ細胞は大量の抗体を合成して、標的のウィルスに向かって抗体を発射し、殺傷します。抗体はミサイルのようなもの。B細胞はミサイルの製造所兼発射装置と思えばいいでしょう。
 
水疱瘡ウィルスに対してつくられた抗体は、おたふくカゼのウィルスには無効。それ専用につくられるからこそ、効き目が高いわけです。
 
血液中に4000~6000万個存在するB細胞のうち、約70%は消化管の壁に配備されています。食物の通り道となる消化管は外界と同じ。ウィルスや細菌の侵入が日常茶飯事に行なわれる危険地帯なので、たくさんのB細胞が監視しているのです。
 
 

 
どんな敵が侵入してきたかによって、免疫系は巧みに免疫細胞を使い分けている。その使い分けの基準はいったいなに?
 
 

 
みずから異物を攻撃するT細胞。抗体というミサイルで異物を迎撃するB細胞。リンパ球の2大横綱は敵との戦い方が違います。そればかりでなく、どのような敵を相手にするかという守備範囲の点でも大きな違いがあります。
 
T細胞がターゲッ卜にするのは、自己により近い異物。それに対してB細胞の標的は、自己とは遺伝的に遠い異物です。
 
たとえば、私たちの体にとっての代表的な外敵に、ウィルスと細菌があります。混同しがちですが、この2つは大きく違います。そしてT細胞とB細胞の分担も違います。
 
まず、ウィルスは細胞構造をもたないので、他の細胞に寄生しなければ増殖できません。タンパク合成やエネルギー産生なども、すべて宿主の細胞に依存。つまり、すねかじりなのです。一方の細菌は細胞をもち、分裂して増殖。エネルギー産生やタンパク合成も独力で行なうことができます。自立した一人前です。
 
ウィルスは体内に侵入すると、私たちの細胞(自己)に寄生します。つまり自己により近い異物なので、T細胞の守備範囲。それに対して、細菌は私たち人間と遺伝的に遠い異物。だからB細胞の守備範囲となるわけです。
 
 

 
臓器移植は、相手が一卵性双生児でないかぎり、大なり小なり拒絶反応が発生します。このような場合の拒絶反応で主役を演じるのは。B細胞でしょうか。それともT細胞でしょうか? 答えはT細胞。他人の臓器は異物ですが、移植を受ける側も提供する側も同じ人間。遺伝的に近い関係だからです。
 
最近の研究では、20~30代の人でも一日約3000個の細胞がガン化するといわれています。それでもすぐにガンを発症しないのは、発生したガン細胞を免疫系が抹殺しているからです。ガン細胞ももとは正常な自己の細胞。だから、ガン細胞の攻撃を担当するのはT細胞ということになります。ウィルスに感染して非自己となった細胞も、T細胞の受け持ち範囲です。
 
T細胞とB細胞の守備範囲を、ドーナツ型をイメージして表してみましょう。中心部が自己。ドーナツの縁にいくほど、自己とは遠い非自己だとします。そうすると、自己に近い部分はおもにT細胞の守備範囲で、B細胞はほとんど関与していないことがわかります。逆に、自己から遠く離れた異物を担当するのはおもにB細胞。T細胞はほとんど関わりません。
 
T細胞とB細胞は、互いの守備範囲を大きく侵害しないようにしているようです。
 

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