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マクロファージ活性化物質LPSとは

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自然免疫(マクロファージ)を活性化する物質HQ-LPS

 
自然免疫は、私たちが本来持っている健康を維持する力に直結している。自然免疫を活性化させることは、さまざまな疾患を回避させ、美容や育毛を含む全身の健康を守ることに繋っていく。その自然免疫のカギを握る物質として、「LPS」はTV番組「世界一受けたい授業」で今年2回取り上げられたほか、「Dr.クロワッサン」などの雑誌でも紹介され、一躍話題となった。さて、LPSとはなんだろうか?免疫とLPSについて長年研究する杣源一郎氏と稲川裕之氏はLPSを「免疫ビタミン」と捉えることを提唱する。杣氏は、平成25年度から内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」で「ホメオスタシス多視点評価システム開発グループ」の研究代表を務め、その中でもLPSは食品の機能性成分の一つとして取り上げられている。お二人に健康とLPSの関わりについてお話をお聞きした。
 

自然免疫とマクロファージ

 
LPS(リポポリサッカライド)の話をする前に、まず自然免疫とマクロファージについてお話しましょう。自然免疫の本質は、異物除去による健康維持だと言えます。感染症や動脈硬化、アルツハイマー症、糖尿病などの健康寿命を阻害する疾患はたくさんありますが、その原因はなんでしょうか。外部から体内に侵入してきた細菌やウイルスは日々排除されなければいけませんが、それよりも実際に圧倒的に多いのは、アポトーシスした死細胞や変性タンパク質や酸化LDL、AGES(最終糖化産物)などの体にできる異物です。体内に生じるこれら異物の排除も生体を維持する上で極めて重要な役割ですが、これがうまく働かないと生活習慣病や慢性疾患が生み出されることに繋がります。私たちは、この疾患の原因を排除する食細胞、マクロファージにずっと注目してきました。マクロファージは、体の中に刻々とできる異物を受容体で識別して細胞内に取り込み排除(貪食)しています。我々生物は自らを維持するための仕組みとして食機能を持っているのです。すなわち自然免疫の中枢を担うのが食細胞群であり、特にマクロファージが重要だと捉えています。
 

マクロファージを活性化させる「プライミング」

 
マクロファージは「プライミング」という状態にすると、食べる力、つまり異物を排除する力が高まります。この状態は見かけは変化がなくわかりにくいのですが、異物に出会った時の処理能力は格段に高まっています。プライミングという言菜は心理学でも使われていて、「先行の学習が、後続の別の学習に無意識的に影響すること」を言いますが、サブリミナル効果はその典型的な例でしょう。認識できない極短時間に画像を見せられたヒトは、次にその画像を見たときに脳が強く反応します。最初は確かに何か刺激されているけれど見かけ上の変化は見られず、二次的に刺激を受けて初めて増幅した現象となります。マクロファージのプライミングでは、二次刺激として細菌などで誘導される反応は、プライミングがない場合よりも著しく高まり、100倍以上になることもあります。炎症は起こさず、異物がなければ元の状態に戻る。これは健康を維持する上で大変有利な状態と言えます。
 

LPSの発見

 
私たちは長年マクロファージの働きに着目して研究してきました。そこで、マクロファージの食べる力を高める物質を食品からスクリーニングしたところ、キノコや酵母、発酵食品、野菜、穀物(米、小麦等)等が活性を高めることがわかりました。野菜や穀物のマクロファージ活性本体は何かと悩んだ末、発見したのがこれらに共生するグラム陰性菌の膜成分に由来する[LPS]です。やっとLPSが登場しましたね。
 
知り合いの製粉会社では、小麦粉に水を加えて練ってグルテンを取り出し、デンプンを回収した後の上澄み液は捨てていました。この廃液は小麦粉の水抽出物ですから大量にいただいて、どんどん濃縮して精製していったところ、LPSに行き着いたのです。そこで、小麦に共生しているグラム陰性菌を調べていくと、パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)という微生物にたどり着きました。この細胞膜の表面にあるマクロファージ活性化物質のLPSがその主要な活性化本体であることがわかったのです。 LPSは日本語では糖脂質、英語ではリポポリサッカライド。略してLPSと呼ばれています。
 
パントエア菌は植物に広く共生していて、窒素固定、リンを可溶化、植物内生菌として感染防除するという、言わば植物の善玉菌です。我々は生野菜や穀物を何万年も食べ続けていますから、パントエア菌のLPSは食経験が豊富で、極めて安全性が高い菌だと言えます。
 
パントエア菌由来LPSのマクロファージ活性化力は高く、パン酵母β-グルカンや乳酸菌ペプチドグリカンの1000分の1量で同等以上の活性化を示すこともあります。
 

LPSの多彩な効果~食べても塗っても良し~

 
LPSの効果は非常に多彩です。私たちはLPSを経口・経皮投与により実験しました。動物モデルやヒト試験を行い、LPSがマクロファージの貪食能を高め、感染症や脂質異常症、骨粗しょう症、アトピー性皮膚炎などに効果があることを見いだし、論文で報告しています。羅列になってしまいますが、LPSの国内外の主なエビデンスを紹介しましょう。
 
パントエア菌LPSの経口投与により、がん細胞を移植したマウスの生存率を高めました。がん細胞を腹腔内に移植したマウスは3週間以内に全匹死亡しますが、ドキソルビシンという制がん剤投与により若干延命します。同時にLPSを飲ませると著しい延命効果の改善が見られました。これは、制がん剤によるマクロファージの細胞死がLPSによって回避される結果であることが示されました。ヒトの臨床的効果では、腎がんの肺転移の完全寛解について海外学術誌に論文を報告しています。
 
2002年の「New England Journal of Medicine」に、近年の先進国でのアレルギーの増加はLPS摂取量の低下に起因するという論文が報告されました。また、2008年にはドイツの研究者が、アレルギー体質になるか、ならないかは子ども時代のLPS暴露量にあるという研究論文を発表したことで、LPSとアレルギーの関係性が世界中で知られるようになりました。
 
私たちは酢酸菌由来のLPSの経口投与により、スギ花粉症のマウスの鼻かき行動が抑制されたという試験結果を得ています。20年ほど前のデータですが、難治生アトピー性皮膚炎の方5人にLPSを塗布したり、経口投与していただきました。当時の常識では、LPSを炎症部位に塗るなどとんでもないことでしたが、モデルマウスで抑制することを体認していたのでヒトで試験できたのです。結果は5人中4人が改善しました。犬のアトピーにもLPSは非常に効果的です。ステロイドもインターフェロンも効かないアトピー犬に飲ませたところ、投与1~2ヵ月で赤剥けだった皮膚がきれいになり毛がふさふさ生えてきました。
 
大阪大学のグループはパントエア菌LPSをインフルエンザワクチンと共に舌下に与えると粘膜中の抗体(lgA)が高まる優れたアジュバント活性があることを報告しています。この組み合わせによるワクチン効果は注射した時には得られないことから、LPSを種々のワクチンと組み合わせて舌下投与すれば、注射不要のワクチンとして広く利用が期待されます。
 
皮膚の免疫力は皮膚の美しさとも密接に関係しています。 LPSの皮膚への効果については、クリアランス(美白)、ターンオーバー(ハリ・ツヤ)、ヒーリング(肌荒れ改善)の3項目を見ています。表皮のケラチノサイトにあるラングルハンス細胞は皮膚マクロファージとも言われていますが、LPSはラングルハンス細胞をはじめとする皮膚細胞に働きかけ、元気な状態を保ちます。マクロファージをLPSで活性化すると、その分泌物の働きで繊維芽細胞の増殖因子の遺伝子発現が10倍高まります。線維芽細胞の増殖因子が産生されると、その近くにある繊維芽細胞の増殖が促進され、結果として皮膚のターンオーバーが早まることになります。繊維芽細胞が活発に増殖していくにつれ、ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチンの量も増え、肌にハリとツヤを与えます。LPSの刺激により、アトピー患者に少ない表皮のフィラグリンも発現が高まり、肌のバリア機能や保湿力を高めます。また、ケラチノサイトを増やし、移動性が高まることで創傷治癒を促進します。やけどの創傷治癒、赤ちゃんや大人のアトピー肌の改善も見ています。
 
ところで、LPSはどこまで肌の中に入るのでしょうか?LPSは分子量が数千~数万ダルトンで、通常は顆粒層のタイトジャンクションをくぐり抜けられませんが、「糖脂質」であり水にも溶け脂にも馴染むという性質から角質層まで到達することが可能です。タイトジャンクションを可視化して詳しく調べた結果、ラングルハンス細胞の樹状突起がタイトジャンクションを壊すことなく、枝を伸ばすように角質層まで突き出て、LPSなど外界の情報を得ていることが明らかになりました。
 
最近の研究では、マウスの育毛におけるLPSの効果はミノキシジルに匹敵するという報告があります。剃毛してその後の育毛を観察したところ、経口でも効果はみられましたが、塗る方ではコントロールに比べ有意に育毛効果が認められました。ミノキシジルの育毛効果のポイントは、繊維芽細胞を育てる血管新生因子のVGEFだと言われていますが、LPSはVGEFの産生を促進します。
 

LPSは内毒素?

 
さて、ここまでLPSの良さについてお話ししてきましたが、皆さんの中には、グラム陰性菌のLPS(エンドトキシン:内毒素)は敗血症の原因物質というイメージをお持ちの方がいらっしゃると思います。内毒素の名前は、コレラトキシンなどの分泌型毒素(外毒素)に対して、細菌の内部にある毒素という意味でつけられました。しかし、両者には天と地ほどの違いがあります。外毒素は生体機能物質に構造が類似しているために体内で作用して害になる物質です。一方、かつて実験動物にコレラ菌の菌体を静脈注射して、発熱や下痢、嘔吐など全身性の炎症反応が誘導されたことから、それは菌体内にある毒素(内毒素)のせいだと言われました。内毒素の原因物質が探索されると、核酸、ペプチドグリカン等とともにLPSが見つかり、最も活性の高いLPSが原因とされてしまったのです。実は、LPSを注射して引き起こす全身性の炎症は通常の生活では極めて異常な状態です。これがモデルとなる例は免疫系が破綻して血液中に細菌がいる、敗血症という危険な状態がそうです。自然のなかではほとんど起こらない注射という非常に特殊な状況でLPSを評価して生まれた内毒素という言葉は、本来持っているLPSの生理的機能を見損なってしまいかねません。
 

「免疫ビタミン・LPS」という考え方

 
そこで、私たちはLPSが身近に存在していてそれを健康維持に有効に使っていることから「免疫ビタミン」と捉えることを提唱しています。なぜならLPSはかつてのビタミンの発見とよく似ています。食事などの変化でビタミンが不足して病気になって初めて食事の中に健康維持に必要な成分(ビタミン)の重要性に気づきましたが、それまでの長い間、人類はビタミンの存在を知らずに暮らしていたのです。それはLPSにも当てはまります。衛生環境が改善したことや農薬などの使用によりLPSが不足してきたことが、先ほどお話しした報告にあるように、現代人のアレルギーを増加させている環境因子の一つとされています。ヒトの体は大昔から今日までゆっくりとしか変化できません。食品や環境に豊富にあったLPSは昔からヒトの免疫機能を正常に保ち、かつ活発化させる働きをしてきたはずですが、現代人はそれが不足しているのです。しかし、ビタミンと同様にその存在は知られてこなかった。
 
マクロファージ活性化物質・LPSの実体が解明されて、一つの推測が生まれました。ここ数十年来、昔はなかったアトピー症の出現やがん、糖尿病など生活習慣病の増加が目立つのはLPS不足によるマクロファージの弱体化が招いているのではないかということです。さらに、ビタミン類と同じく、生体内では合成できないので、外部から取り込む必要があります。またLPSも微量(500μg/日)で効果を発揮します(※500μg/日はマクロファージ活性が起き始めるギリギリの量です。江戸時代には玄米・無農薬野菜からこの10倍以上の量を毎日摂取していたと考えられます。現代の私たちはしっかりとマクロファージを活性化させるにはより多くの量を必要とします)。
 
これらのことを合わせて考えると、「免疫ビタミン・LPS」はぴったりなネーミングだと思うのです。
 

戦略的イノベーション創造プログラムSIP

 
現在、私たちは内開府から委託を受けた「次世代の命を見つめる健康プロジェクト」に参加し、LPSも健康を維持する成分として取り上げられています。これは正式には「戦略的イノベーション創造プログラムSIP『次世代農林水産業創造技術』の「ホメオスタシス維持機能を持つ農林水産物・食品中の機能性成分多視点評価システムの開発と作用機序の解明」という長いタイトルなのですが、ここで私たちは健康状態を把握する指標を作ろうとしています。自己採血して、①薬物が溜まりやすい状態か、②異物を除くことができる状態か、③どれだけ異物が溜まっているか、という体の中の異物について三つの視点で健康を評価しようという世界初の試みです。LPSは食品の機能性成分のモデルの一つとして、その働きを三視点で評価することを考えています。
 
さて、健康とはどういう状態を言うのでしょうか。一人ひとり考え方は異なるかもしれませんが、①感染症にかからない、②がんが発症しない、③ストレスがかかっても免疫機能が低下しない、④生活習慣病にならない、⑤アミロイドβなどの生体内異物が蓄積されないなどが挙げられます。これらを健康体の目標とするなら、LPSが重要なカギを握っていることは間違いないと考えられます。
 
 
杣源一郎薬学博士:薬学博士、免疫学者。1977年東京大学、東京大学卒業。帝京大学助教授、帝京大学教授、徳島文理大学教授、同大学大学院教授を経て香川大学医学部統合免疫システム学寄附講座客員教授、新潟薬科大学特別招聘教授。産学官連携の研究開発を目的として自然免疫制御技術研究会会長、特定非営利活動法人「環瀬戸内免疫ネットワーク(LSIN)」理事、自然免疫制御技術研究組合代表理事に加え、内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)で研究代表者を務めている。
 
 
稲川裕之薬学博士:自然免疫制御技術研究組合 研究開発本部長 SIP次世代農林水産業創造技術「次世代機能性農林水産物・食品の開発」 のコンソーシアム「ホメオスタシス多視点評価システム開発グループ」研究 実施責任者。新潟薬科大学健康・自立総合研究機構 特別招聘教授。香川大学医学部統合免疫システム学講座 客員教授。埼玉大学工学部卒業。薬学博士。水産大学校准教授を経て、2011年より現職。 比較免疫学的研究視点ですべての生物の健康に興味を持ち、難治性疾患予防・治療の研究を、食細胞を基軸に30年間続けている。また、グラム陰性菌(Pantoea agglomerans)のLPSが極めて有用なことを25年前に見出し、以来LPSの基礎と実用化について研究を展開している。
 

食品の機能と健康を考える科学情報誌「FOODStyle21」2016/12号